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ワイルドキャット 第一話(3/4) 仮面ライター
★内容
怪奇・蜘蛛男(3)
薄明かりの中を那恵は走った。足が床を蹴
るたびにまだ弾力を持った乳房がガウンの奥
で上下するので、両腕で胸を抱くようにして
いるため、あまり早くは走れない。下着をは
かず、風をもろに感じる足の間も心許なかっ
た。薄い布切れ一枚がこれほど頼れる存在だ
とは、考えたこともなかった。
かといって今はちゃんとした衣服を探した
りしている余裕はなさそうだった。那恵の後
ろからは硬質のかかとが床を踏み鳴らす音が
追ってきていた。
通路をライトがよぎった。薄闇の中に那恵
の姿が浮かびあがる。
「いたぞ!」
「繰り返しておくが、生け捕りだぞ。殺すな。
しかし多少は傷つけてもかまわん」
「了解」
暗い色の戦闘服を身に着けた集団だ。男女
三人ずつで、全員肩には小銃をかついでいる。
一人が立ち止まって銃を構えた。安全装置
を外した銃を人に向けることにためらいを感
じてはいない。
消音器のくぐもった音がした。小さく悲鳴
を上げて那恵が倒れ、ほかの戦闘服たちが殺
到した。
銃弾は那恵のふくらはぎを貫通していた。
那恵は手足を捕まれ、床に仰向けに押さえつ
けられた。
リーダーらしい男がベルトに付けた収納袋
から注射器と薬の瓶を取り出した。瓶の栓に
針を突き立て、中の液体を注射器に吸い込ま
せる。注射器を上に向け、ピストンを軽く抑
えて空気を抜く。こういうことに慣れている
のか、動作に無駄がなかった。
針を那恵の左腕に突き立てようとした瞬間、
那恵を押さえつけていた男たちが弾き飛ばさ
れた。那恵が手足を振るったのだ。
あっけにとられているリーダーらしい男の
顎にも那恵の掌が飛んできた。横薙ぎの平手
打ちで数メートル離れた壁まで飛んでいった。
そのまま動かなくなる。
ほかの戦闘服たちが立ち上がって全員で銃
を那恵に向けた。
那恵も立ち上がった。撃たれた足を少し引
きずって歩き出した。その方向の戦闘服があ
とずさる。
ふいに那恵の姿が消えた。次の瞬間、那恵
の後ろにいた戦闘服が真上から那恵に蹴られ
た。4メートルはありそうな高さの天井まで
飛び上がり、天井を床のように蹴って飛び降
りたのだ。自分に銃弾を撃ち込んだり、訳の
わからない薬を注射しようとする相手に対し
て、遠慮などする気になれなかった。空手を
やめて5年近いが、基本的な動きはからだが
覚えていた。先刻から感じている違和感も、
圧倒的な体力が補ってくれている。
あとずさった戦闘服があわてて那恵を撃っ
たが、すでに那恵はとなりの戦闘服に肘を入
れていた。
戦闘服全員が動けなくなるまで一分もいら
なかった。那恵が手足を振り回すだけで、相
手が吹っ飛んでいくのだ。
全員が倒れたのを見届けると、ようやく那
恵の顔に安堵の色が浮かんだ。そして、改め
て自分の手足を眺めた。超人的とも思える怪
力を那恵は身に付けていた。
さっき撃たれた足も、すでにさほど痛みを
覚えなくなっていた。手をやると、かさぶた
だけがぼろぼろとはげ落ちた。すでに傷痕の
皮膚が薄くなっているだけだった。
改めて自分が怪物の如き存在になった実感
が湧いてきた。
「そうだ、逃げなきゃ」
気を取り直した那恵が先に進もうとすると、
いつの間にか新手の男が立ちはだかっていた。
追跡者と同じ戦闘服を着ていたが、銃は持っ
ていなかった。
「ふん、やはりこいつらの手には負えなかっ
たか。さすがに『ワイルドキャット』、並み
の戦闘員とは訳が違うな」
男ははき捨てるようにいうと、戦闘服を脱
ぎはじめた。それを見た那恵は、思い出した
ように顔を赤らめ、たった一つ身に付けてい
るガウンを抱きしめた。
「勘違いするな。こんなものを着ていると動
きにくいんだよ。もっとも、おまえを取り押
さえた後はこのかっこうの方がつごうがいい
がな」
男は口の端に下卑た笑いを浮かべた。那恵
のからだがかたくなる。
男が着ているものをすべて脱ぎ捨てると那
恵は目のやり場に困ったが、相手から目をそ
らすわけにはいかない。しかし、やがて那恵
は男から目をそらせなくなった。
男のからだが少し黒ずんだかと思うと、脇
の下に瘤のようなものがふくらみ、それが段
々細く長く伸びていく。腕と同じぐらいの太
さと長さになったところで先端に指ができた。
黒ずんだと思ったのは、男のからだ全体に細
かい毛が生えてきたせいだった。
男の顔も変形を遂げていた。もとあった目
のほかに六つの目が現われ、顔の半分をぐる
りと囲んだ。赤ん坊の腕ぐらいのものが口の
周りに二本生えて、わさわさと動いている。
「あ…あ…」
那恵はその場に立ち尽くして、男の変身に
目を吸い寄せられていた。
男の姿はまるで蜘蛛だった。蜘蛛人間とい
うよりは人間蜘蛛と呼んだ方がよさそうだ。
しかし、股間の男性器だけは人間のままで、
だらりとぶら下がっていた。
「思い出した、私のバイクの前に飛び出して
きたやつ!」
「ほう、覚えてくれていたか。おれの姿が見
えていたとは、素材としても優れていたのだ
な、おまえは」
感心したように人間蜘蛛が言った。
「ふふふ、実はおれの方もおまえが忘れられ
なくてな。生体改造兵士となったからには、
もう遠慮はいらないという訳だ」
人間蜘蛛が那恵に向かって進んだ。那恵の
足はすくんでしまっていた。相手の変身とそ
の姿の異様さに脅えきっている。
人間蜘蛛の腕が伸び、那恵を捉える直前に
なってようやく足が動いた。うしろへ飛びす
さり、もと来た方に向かおうとした。だが、
そこにも銃をかまえた戦闘服の男がひとり来
ていた。
一瞬の逡巡が動きを鈍らせ、那恵の腕は人
間蜘蛛に捕まれた。肘から先をねじってそれ
を逃れる。
だが、走り出そうとした足に絡みつく物が
あった。蜘蛛人間の脇の下から生えた手から
通路の壁に向かってロープのような物が延び
ていた。ロープと違うのは、それがねばねば
と足にへばりつくことだった。
もんどりうって倒れた那恵を蜘蛛人間が抑
え込んだ。跳ね返そうとしたが、人間蜘蛛の
腕力は那恵を凌駕していた。
「ふふふ、よくやったな。しばらくそちらで
待機していろ」
戦闘服の男にそう命じると、人間蜘蛛は那
恵の両手をまとめて片腕でつかんだ。ふくら
んだ尻が大きな球状になって腰の後ろにぶら
下がっている。その尻の下端に手をやって引
っ張ると、きらきらと光る糸が尻から手先ま
で伸びた。糸を作る構造まで蜘蛛そのものだ
った。
人間蜘蛛の糸が那恵の両手をからだの後ろ
で縛った。下の方の両腕で那恵の両足をつか
んで仰向けにし、大きく広げた。ガウンがは
だけ、淡い恥毛に覆われた陰裂が露になった。
「ぎゃー! いやっ、やめて……」
両足に力を込め、からだをよじって抵抗し
たが、奇妙な形に歪んだ陰裂がなおさら人間
蜘蛛を挑発した。人間蜘蛛の手がそこに伸び
てきた。先端だけ人間のままの指が那恵の股
間を玩んだ。那恵がもがいても、人間蜘蛛の
腕から逃れることはかなわなかった。
「やだ、だめっ。触らないでぇ、いやーっ」
恐怖と屈辱と羞恥で那恵は大粒の涙をこぼ
した。だが人間蜘蛛の手の動きは止らなかっ
た。執拗に那恵の股間をなぶり続ける。
やがて人間蜘蛛の触れている部分から快感
が那恵のからだを這い登ってきた。信じられ
なかった。こんな状況、こんな相手に対して
感じてしまっている自分が許せなかった。
だが、いくら那恵が拒否しても、心地好い
感覚がからだを包み込んだ。頬が上気し、股
間が潤んだ。
それを見定めた人間蜘蛛は、ガウンの紐を
ほどき、胸をはだけた。まだ青い果物のよう
な小振りの乳房が現われた。仰向けになって
いてもふくらみが潰れない。その弾力を楽し
むように、人間蜘蛛の手が那恵の乳房を揉み
しだいた。
「いや、いや……こんな……」
新たな快感に、今度は悔し涙を流した。
那恵の涙声に反応して、人間蜘蛛の股間が
勃起しはじめた。那恵の股間をいじっていた
手を口元に運び、唾をたっぷり付けて勃起し
たものの先端に塗る。その先端を那恵の股間
に押し当てた。那恵が絶望的な悲鳴を上げた。