#232/1336 短編
★タイトル (FDJ ) 94/ 5/22 0:12 ( 78)
みんながおかしい(1) 菊水
★内容
目を覚ます。
まだ目覚まし時計は鳴っていない。時計をみる。
いっぺんに眠気がふっとんだ。
7時50分!完全に遅刻である。なぜ目覚まし時計は鳴らなかったのだろうか!?
みると、目覚ましの設定を忘れている。なぜこんなミスをしたのか・・・
いそいで妻を起こす。おい、おい、寝ている場合じゃないぞ、起きろ!
「どうしたの?」
なにをいっているのだ、こんな時間だっていうのに。
「まだ8時前じゃないの」
「まだ」だって?寝ぼけているのだろうか。しかし、20・・いや30・・え、何
年だったろう。頭が混乱していて思い出せないが、とにかく気が遠くなるくらい長
くつれそってきたのだ。寝ぼけているからといってこのセリフはないだろう。この
起床時間はずっと変わってないのに。
とにかく会社に行く用意をしなければ。
あわてて用意をはじめる。・・・・妻がごそごそ起きだしてきた。
「なにをやってるの?」
ぽっかり口をあけて、鳩が豆鉄砲でもくらったような顔をしてこちらを眺めている。
今朝の妻はなんだかおかしい、しかし、そんなことは後まわしだ。
はやく会社へ行かなければ。
「なにやってるの??」
今度はいくぶんヒステリックになっているようだ。いよいよおかしい。
しかし、今は妻にかまっている時間はないのだ。気になるが、仕方ない。
黙々と準備する。
「じゅんいちーっ、ちょっとーー」
妻が悲鳴にも似た叫び声をあげる。じゅんいち?誰だ?
「なんだよ・・」
パジャマ姿の若者が階段をおりてきた。まだ大学生くらいにしかみえない。
誰だこいつは・・・?
この「じゅんいち」という若者もわたしをみて、急に動作がとまってしまった。
「・・・・・・」
なにか言いたそうだが、声がでないようだ。誰だ、お前は??
なんでこんな男が家にいるのだ、頭が混乱する。
誰なんだ、お前は??
「あっ、あなた!」
妻が悲鳴にちかい叫び声をあげる。
なんだ、どうなっているのだ。妻は様子がおかしいし、まったくしらない男がわ
が家にあがりこんでいる。それも、さっきまで寝ていた様子だ、わが家で。
昨日まではふつうの生活をおくっていたはずなのに、どうなっているのだ?
昨夜のことを思いだしてみる。・・・・あれ、どうだったろう。昨夜なにを食べ
たのか、何時頃床についたのか、思い出せないのだ。それに、いろいろ考えよう
とすると頭が妙になる。なんだか脳が破裂するのではないかというくらい、強烈
な不快感におそわれる。
わたしはなんだか、この場から逃げだしたい衝動にかられてきた。
(つづく)
菊水(FDJ53534)