#231/1336 短編
★タイトル (AGM ) 94/ 5/20 15:39 ( 26)
僕が大好きだった、東京の片隅で。
★内容
あの角を曲がれば、もうすぐ其処さ、見えてくるだろう。
僕が大好きだったアップルティーを飲ませてくれるカフェバー。
カウンターに6人座れば、満員御礼 そんなところさ。
ぶっきらぼうの髭のマスター今も元気にしてるのかい?
最初に店に来た頃の僕を覚えていてくれてるかい?
そうそう、マスターの愛猫、デュークに掌引っ掻かれたっけ。
店にはいろんな野郎や女たちが入れ替わり来たよね。
あいつはどうしてる?人生論一席ぶってた野郎だよ。
ほら髪を赤く染めて、ギター抱えてたパンク小僧のことだよ。
こんな事もあったっけ、彼女にも手を焼いていたよなー。
今でも笑ってしまうよ、あんたのたじろいだカッコを思い出すたびにね。
酔いつぶれて絡んでくるM子に、泣きだされた時はもうお手上げだったよな。
傷っいた心を癒す方法なんて、あるわけないじゃないか、そう思わないか?
突然聞かれても、返す返事がなかったよ。
思いっきり泣いて、それで忘れられるのなら、此処を貸してやってもいいさと。
あんたは独り言みたいに呟いてたよね。
誰もが何時でもとびっきりの笑顔でいられたらいいのにね。
上手くいかないもんさ、それが生きてるてことかもしれないけどな。
僕は今田舎で相変わらず、のんびりとした暮らしをしているよ。
東京にいたころの記憶がだんだんモノクロームの風景になってきたよ。
色鮮やかだった日々も、そんな風にして思い出に変わってしまうんだね。
また昔の話がしたくなったら尋ねていくから
その日まで元気でいてくれよな。