#219/1336 短編
★タイトル (NKG ) 94/ 5/ 3 13:13 ( 52)
へいわぼけ
★内容
「にほんじん」は「へいわボケ」しているとみんなから叱られています。
命に代えてでも守らなければならないものがあるとえらい人はいってます。
でも、そんなにまでして守らなければならないものってなんだろう?
ふとSちゃんは疑問に思いました。
「じゆう」とか「せいぎ」とかそういう大事なもののために世界の人々は戦ってい
るのだとえらい人はいっています。
Sちゃんは、ふーんと聞き流しました。死んじゃったらどうやって、それを守る
んだろう、なんて余計な考えは心にしまいこみました。なにしろ、Sちゃんも「へ
いわボケ」の一人だと叱られているのですから。
ある人は、「へいわボケ」している人間は命を賭けてまで守るものがないから、
「こせい」がないのだと怒りました。その人がいうには「じぶんらしさ」は、死ん
でも守るべきだそうです。
Sちゃんは怖くなりました。死ぬのは怖い、そう思うことじたいが悪いことのよ
うに思えてきたからです。
でも、Sちゃんは死にたくありません。
それが、「遺伝子に組み込まれた本能だ」などという難しいことはSちゃんには
わからないのですから。
みんなはひたすら「おくびょうもの」とSちゃんをののしりあげました。
哀しくなったSちゃんは、みんなから逃げます。
逃げて逃げて、物陰に隠れました。そして、疲れたSちゃんはすぐにぐーすかと
いびきをたてて寝てしまいました。
「……か…ても」
「命を……」
何かの声で目を覚ましたSちゃんは、起きあがって物陰からそっと辺りをみわた
しました。
すると、祭りのように踊っている集団が張り裂けそうなそうな声で叫んでいます。
「命に代えても「じゆう」を守れ!」
「『じぶんらしさ』は命を賭けても守るべきだ!」
怯えながらそれを見ていたSちゃんの身体に、何か変化が表れ始めました。
Sちゃんの中に蓄積された「怒り」が変化し始めたようです。
そして、その変化が言葉となってSちゃんの口から飛び出ました。
「てめぇら!命を粗末に扱うんやねぇ!命を賭けずに守れる方法を考えや!
命を出した時点で思考停止しとるやんけ!!!!」
(了)
前半部分、悠歩さん節になってしまったのは偶然です。悪意はないので許して
くだせぇ。