#2893/3137 空中分解2
★タイトル (UYD ) 93/ 2/23 1: 7 ( 36)
タイガース日記 KEKE
★内容
第一次長嶋監督時代の一年目の最大のあやまりは、選手の自主性を
尊重しすぎたことである。長嶋選手は自分で何でもやるひとだった。
野球で飯をくっているんだもの、それは当然のことと彼は思ってい
た。監督になっても長嶋はそのつもりでいた。選手の自主性にまか
せれば、彼らはやってくれると思っていた。ところがそうではなかっ
たのである。
選手は小さい時からコーチにあれこれいわれ、それに素直に従っ
て巨人の選手になったのだった。その結果、彼らは自分の頭で考え
て行動するという習慣を持っていなかった。突然自分でやれといわ
れて、彼らは混乱し、結果として安きに流れた。要するになまけた
のである。いい加減に練習したのである。その結果、長嶋監督一年
目は最下位である。
私の絵理に対する最大のあやまりは、彼女の自主性にまかせたこ
とである。当時彼女は京都精華大学という、某三流大学生だったら
しいが、顔をみるとそう阿呆とも思えなかった。目はちょっとトロっ
としていたが、顔はキリリとしていたし、口もまあ締まっていた。
だから解かっているんだろうと思っていた。あれほど男にスキをみ
せているのだが、わかってやっているんだろうと思っていた。彼女
に群がっている男たちが何を考えているのか、当然理解しているの
だと思っていた。だからいちいち指図しなくても大丈夫と思ってい
た。まあ、適当にやりなさいとほっておいた。それが致命的間違い
だったのだ。
正直いって、これほど阿呆な女とは思わなかった。この女はいち
いち指図して、私に従わせなければならない女だったのだ。そのこ
とに気がつくのが少々おそすぎた。これまで私がつきあった女はみ
なかしこい女ばかりだったから、こちらが指図するどころか、こっ
ちが指図されそうな感じだった。だからつい油断したのである。
絵理という女は阿呆なのだ。いちいち指図して命令しなければな
らない女なのだ。ということで、今日から指図する。あのな、私の
ところに電話するのに、男に電話させるな。阿呆。そのとき男が何
を考えているかすら解からないのか。やれそうな女。それだけだ。
お前はいつもそうだな。