AWC 「邪狩教団」第4章(2)         リーベルG


        
#2213/3137 空中分解2
★タイトル (FJM     )  92/10/ 1  23:57  ( 83)
「邪狩教団」第4章(2)         リーベルG
★内容

 第2のロックは純粋に機械的な機構である。玲子はテンキーのキーの隙間から髪を通
した。簡単に4桁の暗唱番号をさぐりあて、それを順番に押した。
 パチッとロックが解けケースの蓋が開いた。同時にメインスイッチがオンになった。
液晶ディスプレイ表示されたのはたったの1行。
 −CAN'T ACCESS LINE.
 玲子は通信を再開した。
 「…という1行が出ただけですが」
 『ヘリのコンピュータと連動しているのだ。ヘリの機能が停止している限り、外部と
のアクセスは不可能だ。キーボードがあるな』
 「もちろんです」
 『コントロールキーを探すんだ。C・T・R・L』
 「ありました」
 『次はALTキーだ』
 「はい。ありました」
 『最後にデリートキーだ』
 「…はいみつけました」
 『よし、それではその3つのキーを同時に押してみろ』
 玲子は指を伸ばしていま探したキーを同時に押した。画面が消えた。次の瞬間、内臓
シリコンディスクのアクセスランプが一瞬点滅し、再び画面に文字が現れた。今度も1
行だけである。
  −ENTER PASSWORD>>
 「パスワードの入力がでました」
 『これから言う順番に入力しろ。音声アルファベットでいくぞ。オスカー、タンゴ、
アルファ、ロミオ、タンゴ、ゴルフ…』
 玲子はタイラントの伝えるとおりに、O、T、A、R、T、G…とアルファベットを
入力し、最後にエンターキーを叩いた。
 同時に画面がクリアされた。そして、画面左上にカーソルが点滅した。
 「入力待ちになったのかしら。カーソルが出ました」
 『DSPSYSSTSと入力してエンターキーを押せ』
 言われた通り打ち込むと、画面にわけのわからない一覧表が出現した。
 「何ですかこれは」玲子はいいかげんうんざりしながらきいた。玲子の使った事のあ
る機械で、一番このコンピュータに近いものといったらワープロくらいであろう。もと
もと理工系の頭脳を持っていないのだ。プラーナの力を借りて一時的に脳の未開発の部
分を活性化しているだけなのである。
 『8行目を読んでくれ』おかまいなしにタイラントは命じた。
 「はいはい、いいですか。えーと、CODE ACCESS KEY ブランクが10文字。それか
BLACKSNOWです」
 『よくやった。それがSEALのホストコンピュータにアクセスするキーだ。こっち
からアクセスする』
 「これはどうしますか」今使った端末装置のことである。
 『もとの場所に戻しておくんだ。アメリカ合衆国市民の財産だからな』大まじめな声
でタイラントは答えた。
 「これでなにかわかるんですか」言われたとおり、コンピュータを閉じてもとの場所
に戻しながらきいた。
 『多分、君の追っている敵の正体がわかるだろう。0時まではアクセスキーは変更さ
れないと思う』タイラントは傍らの誰かに、何か指示を与えた。それが終わるのを待っ
て玲子は訊いた。
 「これからどうすればいいんですか。私は」
 『とりあえずヘリから離れろ。SEAL隊員が接近している』
 「どうして早く教えてくれないんですか!」玲子は思わず大声を出した。
 『あわてるな』タイラントの声は相変わらず冷静である。『まだ3キロ以上離れてい
る』
 「了解。ヘリを離れます。以上」玲子は通信を切ると、周りを見回した。足跡以外自
分のいた痕跡は残っていない、と思われた。端末装置には指紋が残っているだろうが、
とりあえず心配しても仕方がないだろう。
 玲子は秘かにヘリから脱出した。
 「脱出しました。少し様子を見てましょうか」
 『そうしてくれ。見つからんようにな』
 「わかってます。ところで何かわかりましたか」さっき調べたアクセスキーのことで
ある。
 『進行中だ。カサンドラの話しでは、さすがにガードの固いセキュリティシステムら
しい』
 カサンドラというコードネームを持つ女性は、玲子の知る限り最高のコンピュータの
エキスパートである。直接会ったことはないが美人だそうである。もっともタイラント
は彼女の容姿ではなく、才能の方を重宝しているに違いないが。ある意味では女性に対
して非常に失礼な態度といわなければならないだろう。
 「どういうことかそろそろ教えて下さってもよろしいんじゃありませんか?」
 『ほう。君の推測とやらはどうしたのかね』タイラントは皮肉をこめて−と玲子には
聞こえた−訊いた。
 「あれは取り消します。ヘリに<従者>を運ぶような装備はありませんでした」玲子
は苦々しく認めた。「でもそうすると、S−村の人々を殺した<従者>はどこから現れ
たんですか」
 『つまりそこで何が起こったか…』タイラントの声が背後の誰かによって遮られた。
長官は誰かと短く言葉を交わすと、玲子に告げた。
 『衛星が敵らしきものを捉えた』
 玲子は緊張した。意識を戦闘状態に素早く切り替えた。
 『村からおよそ2キロだ。突然出現した。どうやら村に向かっているらしい』
 「正体はわかりましたか?」
 『ダメだ。映像分析は相変わらず役に立たない。弱い熱を探査したのだ』
 「すぐに向かいます。誘導して下さい」玲子は接近しているSEALのことなど忘れ
て、闇の中を走りだした。





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