#477/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (NNH ) 87/11/10 17:49 ( 70)
『ある雨の日に……』(3)磯崎節子・一宮ゆかり・小嶋淳
★内容
ある・雨の日に……
原作 磯崎節子
一宮ゆかり
著作 小嶋
3
さっちん、ゆっこ、おケイの3人は、楽しそうに話しをしながら歩いていた。
「こら! 久美。何してるのよ。おいていくぞ!」
「どうしたの、久美。今日の久美、らしくないよ」
「ねえ、みんな……私、このゲームは棄権したいの……」
「何言ってんのよ。1人でも抜けたら、4人組にならないじゃないの」
「そうよ。それに私のライバルが抜けたら、簡単に勝っちゃって、気が抜けちゃうわ」
「あー、ゆっこったら」
「ねえ、4人でやろうよ。大丈夫。久美が勝つから」
幸子は、久美を少しでも元気付けようとした。
「う……うん」
「じゃあね」
「bye!」
由美子と圭子は、バス通学なので、バス停へ向かった。幸子と久美は駅へ……。
「久美、元気出しなさいよ」
「……」
「え?」
「……いいわ。私も参加する。いいチャンスだもの。ただし、私はゲームなんかじゃな
い。私の本当の気持ちを打ち明けるの。誰にも負けないんだから……」
「久美は4人の中で1番可愛いもの。大丈夫よ。あっ、もうこんな時間! 私行くね
久美は?」
「私はまだ」
「そう、じゃまた明日!」
幸子は右手を挙げると走っていってしまった。久美はしばらくの間、ぼんやりとして
いた。
「岡崎久美は頑張るマン!」
ぽつりと言うと久美は、舌を、ペロッと出し、改札へ向かって駆出した。
翌日、計画は実行された。1度に届けたのでは疑われるので、この計画は5日に分け
られた。最初の4日で手紙を渡し、5日目の2月5日を、待ち合わせの日とした。
土曜日の授業が終わると、4人は、集合した。
「いいわね、みんな。誰の所へ達也君が来ても文句なしよ」
「へへっ、みんなごめんね」
「ゆっこ、又そんなこと言ってるの? だめよ、私がいるんだから」
「まあ、2人共、ブリッコの久美に勝てるもんですか」
と久美が言うと、2人は笑った。
「そろそろ3時よ。みんな行こうか?」
待ち合わせは、達也の部活に合わせて3時半にした。
「じゃぁ、久美。頑張ってね。何を話したかは、月曜日ちゃんと報告すること」
久美は、頷くのがやっとだった。期待と不安で、言葉が出てこなかった。
久美は、駅へと向かった。約束の時間までは、まだ10分ほどある。
「あと10分か……」
久美は、駅の時計から噴水に目を移した。
「あっ」
久美は、思わず小声で叫んでしまった。なんと達也が噴水の前にいるではないか。久
美は自分の目が、信じられなかった。
久美は、ぎこちない足取りで、達也の前に行った。
「やあ」
先に声をかけたのは、達也であった。
「こ、こんにちわ」
思うように、声が、出てこなかった。まだ夢を見ている様な感じであった。
「俺、ああいう手紙もらったことないから……」
と、照れ臭そうに達也は言った。
「うそォー達也君なら、いっぱいもらってるでしょう」
「まさか……、ね、どこか入ってゆっくり話さない?」
「ええ」
喫茶店に入ると2人は、窓際に座り話しを始めた。窓の外からは、2人の楽しそうネ
笑顔が見えた。
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