AWC 『ある雨の日に……』(2)磯崎節子・一宮ゆかり・小嶋淳


        
#476/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (NNH     )  87/11/10  17:45  ( 87)
『ある雨の日に……』(2)磯崎節子・一宮ゆかり・小嶋淳
★内容


                   ある・雨の日に……

                                                          原作  磯崎節子
                                                                一宮ゆかり
                                                          著作  小嶋  
                                  2

  翌日の放課後、さっちん率いる久美、ゆっこ、おケイのミスチフ(悪戯)4人組は、
例のごとく、さっちんを取り囲み、井戸端会議の真っ最中である。さっちんは、とても
明るく活発で頭の切れる女の子で、ミスチフのリーダー格である。とにかく。ハチャメ
チャのミスチフ。この4人には笑いが絶えることがなく、彼女等は、悪戯(ミスチフ)
の常習犯であった。
「ねえみんな!」
  幸子は、ニヤニヤしながらいった、久美達は、幸子に注目した。幸子の「ねえみんな
!」は、新しい悪戯を意味しているのだ。
「さっちん、今度は何を思いついたのよ」
  と、おケイが、面白半分という口調で聞いた。
「まあそういわずに……」
  3人はさっちんの前に、身を乗り出した。
「いいこと。まず私達4人が1人の男子に宛てラブレターをだすの。ただそれだけじゃ
面白くないわ。詰まり、そのラブレターの中で、同じ日、同じ時間、そしてそれぞれ別
の場所を指定するの。それで誰の所へ来るか競うのよ」
「だめよそんなの。どうせ私の勝ちだもの」
「おもしろそうね」
「やってみようか」
「でも、ただ誰の所に来るかということだけじゃつまらないわ。そう、負けた人は、学
校中の掃除をする。なんていうのどうかな?」
  そう言ったのは久美だった。
「わぁ、みんなかわいそう!」
「何言ってるのよゆっこ。やけに自信たっぷりね」
「それなら勝った人も何か賞品を作ろうよ」
「いいわね。じゃぁこうしない?  勝った人はその相手とかならずデートする。どう
素晴らしい賞品でしょう」
  幸子の言葉に3人はうなずいた。
「よし!  思いついたら即決行!」
  幸子はさっそく手紙を書き始めた。
「でもさっちん、一体相手は誰にするの?」
「そうね……野上君は?」
「だめよ。彼は智子のBFだもん。智子に怒られちゃうわよ」
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「えっ!」
  久美は思わず声を出してしまった。
「どうしたの?  久美。そんなに、びっくりして」
「えっ、別に……」
「でも、もしこの4人の中の1人が、デートするなんてことになったら、学校中大騒ぎ
でしょうね。ほら、2学期にあったじゃない」
「そうそう、「西高フライデー」やら、「西高噂のスタジオ」なんかが、もの凄い騒ぎ
だったもんね」
「大丈夫よ。どうせ私が勝つんだし……」
「あら、さっちんたら……」
「ねェねェ。呼び出すのはいつにする?」
「そうね、土曜日の放課後、そう5日がいいわ。私は駅前」
「それじゃ私はパルナードの入口」
「丸井の前」
「ねえ、久美どうしたの?  久美がおとなしいなんて熱でもあるんじゃない?」
「久美は何処にするのよ」
「……」
「じゃあ久美は駅の噴水の所ね」
「えっあんな人通りの多いとこ……」
  みんなは張り切って書き始めたのだが、久美はなぜか書けなかった。
(よりによって、悪戯する相手が達也君だなんて……)
「出来た!」
  叫んだのは、ゆっこだった。
「ゆっこ早いのね」
「だってゆっこは、この手で何人もの男の子を手玉にとってるんだもん。こういう事は
慣れてるのよね!」
  圭子が冷やかすように言った。
「結果的にはいつも失敗だけどね」
「何よおケイ。私は1人じゃなくてたくさんの男子を研究してるんだからぁ」
「ほうほう。付き合いたくても相手にしてもらえなきゃね」
「もう!」
  圭子が教室中を逃げ回り、それをゆっこが追いかける。猫とねずみの追い駆けっこで
ある。
「あの2人……またやってる。ほんとにいいコンビね」
「久美……、本当に熱でもあるんじゃないの?」
  そう言うとさっちんは久美のおでこに、手をあてた。
「……ねえ、さっちん……どうしても達也君にするの?」
「どうして?  達也君のこと嫌い?」
「そんなことないわ。ただ……」
「ははーん、わかった。久美は達也君にホの字なのかぁ」
「もう!  さっちんたら。私、そんなこと……」
「ほら、赤くなった!」

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