#475/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (NNH ) 87/11/10 17:40 ( 33)
『ある雨の日に……』(1)磯崎節子・一宮ゆかり・小嶋淳
★内容
ある・雨の日に……
原作 磯崎節子
一宮ゆかり
著作 小嶋
1
58年2月……
突然の夕立に、久美は、歩道橋の下で雨宿りをしながら、学校に引き返すべきか、そ
れともこのまま走って駅に向かうべきか迷っていた。そんな久美を横目に、傘を持った
学生達は皆急ぎ足で通り過ぎていった。
そのとき、1本の傘が、久美の上に差し出された。反射的に、久美は振り返った。と
、そこには、西高のアイドル的存在の、上岡達也が、頬笑んで立っていた。
「……」
久美は唖然として、言葉が喉に詰まって出てこなかった。
「君、傘持ってないんだろ? 駅まで入っていかないかい?」
「でも……」
久美は戸惑った。
2人で歩いているところを誰かに見られでもしたら、当分学校に行けなくなるだろう
。いや、そんなことより、自分のあこがれの上岡君と、話しをしているだけで、心臓が
破裂しそうだった。
「それとも誰かを待ってるの?」
「いっいえ……」
おもわず久美は、答えてしまった。
「それなら入っていきなよ。こんな所に何時までもいると風邪ひくぜ」
達也はポンと久美の肩を叩いて言った。久美は、達也に、引かれるように歩きだした
。
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