#2202/3625 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 22/05/03 19:22 ( 30)
右肩下がり〜 永山
★内容
フジテレビ系で放送のドラマ「元彼の遺言状」第四回を録画視聴。ネタバレ注意で
す。
回を重ねるごとに、評価が下がっていく。多分、縦糸になる篠田に関する展開にミス
テリとしての面白さが集約されてるんだろうけど、それにしても各回のエピソードが練
り込み不足で、物足りない。今回にしても、作中作で用いられているというトリックは
全然たいしたものではないのに、その小説(生原稿)を読んだ者にしか実際の犯行は不
可能と言い切っている辺り、限定条件の提示が甘すぎると思う。斬新なトリックであっ
たとしても、その作品を読んでいなければ犯行は不可能と断定はできないのだけれど
も、ここはミステリとして読者・視聴者が納得し得るレベルの真新しいトリックを出し
て欲しかったところ。
加えて、登場人物の編集者がいみじくも言っていたように、作中作で用いられたトリ
ックは使い古されたものとも言える訳で、だったら犯人の絞り込みにその原稿を読んだ
か否かは関係なくなると、本ドラマの制作サイド自体が語っているようなもの。どうし
てこんな脚本にしたのか、よく分からない〜。
分からないと言えば、犯人が犯行現場であるアパートに行ったことがないと言い切っ
たのは何でだろ? 家政婦さんとして雇っている人の家なんだから、何度か上がらせて
もらっていますと答えても不自然じゃないし、そう答えておく方が絶対にいいのに。現
場から毛髪などが見付かっても、それだけで言い逃れできる。逆に、足を運んでいない
と主張することによるメリットは、犯行の否定しかないような。実際、犯人は失言によ
って嘘がばれ、自白する羽目に陥っているし。
結局、各エピソードは枝葉だから力を入れずに、よくあるトリックの組み合わせで凌
ごうとしている、そんな印象を受けてしまう。既存のトリックの再利用や組み合わせは
悪いことじゃない、ただし、やるのなら推理物好きの読者・視聴者を納得させるだけの
工夫をして欲しいなあ。大事なことだと思うから二度書きました。(^^;
あ、そうそう、動機も納得できなかったな。売れっ子だった推理作家の十三年ぶりの
新作長編なら、それだけでも話題を呼んでかなり売れるでしょう。「読者への挑戦」を
挟むような本格推理のタイプなら、コアなファンが付いているはず。ドラマでの動機を
通すには、過去の作家、終わってしまった作家という雰囲気を描かなくちゃ。
ではでは。もう一点、前回期待を寄せたキャラの再登場も小さな扱いで残念。