#1795/3621 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 21/05/17 19:58 ( 35)
良トリックにハテナな筋書き 永山
★内容
日本テレビ系で放送のドラマ「ネメシス」第六話を録画視聴。ネタバレ注意です。
逆トリック――犯人を追い詰めるためのトリックは素晴らしい。犯人像との対比も含
めて、テーマ性もあるよいアイディアでした。
それと比べるとストーリーがやや破綻気味。犯人がバレバレなのは仕方がない面もあ
るのでしょうけど、一応かしこい設定であろう犯人が事態把握し臨機応変な対処してし
かるべきところを、あまりに無策で残念。アリバイトリックに気付かれていると理解し
た時点で、被害者が生きている可能性が高いことを瞬時に理解しないといけない。
そもそも、いくら動画職人だからといって、親しい女性を助けに行くときに生配信で
自撮りを交えながら中継するってのは、怪しんでくださいって言ってるようなもので、
普通に知恵が働く人間なら中継なんてやめて必死になってみせるでしょ。本ドラマでは
そうじゃなかったけど、仮に素で生配信とかやめられないのなら、助けられた女性、そ
の動画職人をぶん殴るんじゃないの。
最初に絶賛した逆トリックですが、犯人に言い逃れの余地がありそうなのはちょっと
気になる。「先立って郵便受けに差出人不明の脅迫文が投じられており、全てはお芝居
と分かった上で演技するように指示されていたから従ったまでだ。手紙も処分するよう
指示があったからその通りにした」と抗弁されれば、多少手こずるんじゃないかしら
ん。
アリバイトリックの方は、ドラマに描かれた通りだと用意するのが早すぎない? 発
動前に外から見た人が気付いて、通報しそう。ドラム缶の穴にしたって、必ずしも一定
の割合で水が出るもんじゃないのでは? 残りの水の分量で水圧が変わるから。なの
で、計画的に実行するためには、何度か実験する必要があると思う。そのためにはあけ
る穴の大きさとか位置とかを精密にしなければならないだろうから、描かれたような雑
なやり方ではおかしい気がする。
ヒロイン探偵が現場でドラム缶から流れる水量を計測し、トリックがいつ発動するか
を算出していましたが、あれも無理じゃないかなあ。上述の疑問の他にも、被害者の重
さの値が分かってないので。
あと、“報道が虚偽だった、いややっぱり真実だった”という流れが軽いなあ。肝心
なところが簡単にひっくり返る世界。そんなに軽くていいのか。調べても調べても真偽
不明だったがこれこれこういうことをしてようやく分かった、的な段取りがないので、
登場人物の調査能力に疑問を感じるし、“真実”に対する意識の軽さが背景に感じら
れ、このあとのエピソードで有力な証拠が出て来てもころっと覆されそう。結果、安心
して観られなくなる。
という具合に、長所と短所がはっきり出た、評価しづらい回でした。
ではでは。