#517/1850　ＣＦＭ「空中分解」
★タイトル (XFG     )  87/12/ 1  21:10  ( 20)
☆☆　Ｔ’ｓ　Ｐｅｎｃｉｌ　　Ｖｏｌ．１７  ☆☆☆☆
★内容
　　　　　　　タバコの話　（４）

　僕の通っている大学は、ちょっとした高台にあって建物の３階ぐらいからで
も十分海が見渡せ、天気が良いと水平線まで見える。いま僕が卒業研究をやっ
ている研究室がある建物は、４階建てで研究室のすぐとなりが非常階段になっ
ている。最近その非常階段をカンカンカンと４階まで昇っていって、そこで海
を見ながらタバコを吸うことが多い。友人はこんな所でタバコやってると、ま
るで高校生みたいだな、と言って笑うけど、凄く気持ちがいいのだ。この季節
の日差しはとても柔らかで、澄み切った空気を通して景色を眺めていると、ま
るでツーリングに来ているみたいな気持ちになる。そんなときは決って、何処
からか風がやってきて話しかける。

「君のタバコ、一口吸わせてくれないか？」
「どうぞ、幾らでも吸っていいよ。」

そう僕は答える。すると風は喜んで僕のタバコを半分吸って行ったりする。こ
れだからタバコは止められない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＴＯＭＯ