AWC 熱闘!ブロンコス96(9)     Faith


        
#4790/7701 連載
★タイトル (GLD     )  96/10/24  20:39  (108)
熱闘!ブロンコス96(9)     Faith
★内容
−−−*訂正*−−−
前回の「次週(第7週)」で「オイラーズのホームゲーム」とあるのは「ファルコ
ンズのホームゲーム」の誤りでした。
−−−−**−−−−

熱闘!ブロンコス96(9)

 結局神林めぐみは、デトロイトのポンティアック・シルバードームから車で小1
時間ほどのところにある、おじさんの家に2泊した。おじさんがボビー・バレンタ
インという名前だとは、おじさんの家に向かう車中で知った。「銃と暴力の国」と
しばしば報道されるアメリカで、めぐみも剛胆というか無鉄砲というか、いい度胸
をしている。
 火曜日になってめぐみは、同じくマクレガー氏の家に泊まり込んでいたアトラン
タっ子のジョン・マクレガーの車に乗せてもらって、一路ジョージア州アトランタ
へと向かったのであった。

 1996年10月13日(日)、めぐみとジョンは連れだって、アトランタ・ファ
ルコンズの本拠地ジョージアドームに足を運んだ。チケットは、どうやったのか知
らないがジョンが入手してくれていた。
(ついこの前オリンピックを見に来たときは、もう一度ここに来るとは思わなかっ
たわね)
 何しろオリンピックの時は、会場エリアに近い辺りのホテルは全てスポンサーが
押さえ、全米および世界中から集まった人々は離れた宿に泊まらざるをえなかった。
ところが交通の便がよくない、というより非常に悪かった。しかもテロ騒ぎのおか
げで日替わりで通行止めの道が変わるものだから、バスもタクシーもあてにならな
い上に歩いても遠回りばかりさせられた。TVではアメリカ人選手の出る種目・試
合しかやらないし、それもバスケットのドリームチームの試合さえ途中で水泳の表
彰式に切り替わったりして、観客無視・視聴者無視のサイテーのオリンピックだっ
たのだ。めぐみも、2度とこんなところ来るものかと思ったものだ。
 しかし今回は多少、気分も軽かった。5連敗中とはいえ、先週の試合の感じなら
ディフェンスはけっこう期待できそうだ。しかも今日の相手のヒューストン・オイ
ラーズは、今季はそこそこ調子いいとはいえ、ウォーレン・ムーンをバイキングス
に放出してからは強いチームとは言い難い。
 ファルコンズのオフェンスも、そうそうブザマはしないだろう。万一負けて開幕
6連敗などということになれば、1985年以来の失態である。
「今日は勝つ!」
 めぐみの意気込みに、少々圧倒されているジョンであった。

 が。

「が」と言った以上は聡明なる読者諸氏はお気づきであろうが、またしてもファル
コンズは黒星を重ねてしまったのである。ファイナルスコアはファルコンズ13−
23オイラーズであった。
 ディフェンスはそこそこがんばったのだ。とは言っても、あくまでも「そこそこ」
だが。タッチダウンは2度に押さえたが、もう一踏ん張りが利かず、フィールドゴー
ルを4本通された。
 それより問題はオフェンスだ。第3Qまで敵陣40ヤードをさえ一度も突破でき
ず無得点。第4Qにタッチダウンを2本返したが、日本の野球ニュース風に言えば
「反撃もここまで」というやつだ。パス攻撃はトータル268ヤード前進で、まぁ
まぁの合格点だが、ラッシュ(ラン攻撃)がトータルたったの55ヤードしか進め
なかったのだ。ランを止められるから、仕方なくパスに頼る。そこを読まれて、2
回のインターセプト。
 勝つためには、パスとランをどれだけバランスよく使うかが重要である。例えば。
95年度の関西学生アメリカンフットボールリーグ最終戦は、立命館大学対京都大
学の全勝対決となった。前年度覇者の立命館のQBは3年生ながら天才パサーと呼
ばれる東野だったが、相手ディフェンスの前にラン攻撃が伸びず、京大の前に膝を
屈する無念を味わうこととなった。
 デンバー・ブロンコスの低迷も、ディフェンスの強化を手抜きしたこともさるこ
とながら、J.エルウェイの右腕に頼りパスレシーバーの強化にばかり力を入れた
ことと、チームのエースランナーの負傷により、パス偏重のチームとなっていたこ
とも理由に挙げられる。今年のブロンコスの久々の快進撃は、ほとんど毎試合100
ヤード以上走ってくれるT.ディビスの活躍で、相手チームがエルウェイのパスと
ディビスのランの両方をカバーしなければならなくなっていることが大きい(しか
もエルウェイは自分でも走りまくるタイプだ)。もちろんディフェンスの復調も無
視してはならないのだが。
 ともかく、今日のファルコンズのようにランで55ヤードしか進めないチームが
勝つには、アタマに”超”のつく一流QBがいても困難なのである。

「いつ勝てるんだろうね」
 ジョンの来るまで空港まで送ってもらう道すがら、めぐみはつぶやいた。日本語
は分からないものの、表情からそれと察したのか、ジョンは「いつか勝てるさ」と
いうようなことを言ったらしい(めぐみも英語はよくわからない)。
「早く勝つところを見たいな」


「そういえばさあ、めぐみは今季からファルコンズを応援してるんだから、ひいき
チームの勝利を一度も知らないことになるんだよね」
 日本時間で月曜夜。例によって西村のアパートで酒盛りしているときに、水上が
誰に言うともなく言った。
「俺も応援に行った試合でロッテが勝つところ見たことないぞ」
 台所で肴を造りながら、正木が応じた。千葉に移転する前年からのロッテファン
だから、ロッテ時代の落合も知らなければ”サンデーちょーじ”こと村田も知らな
い。好調だった去年観戦に行けばよかったのだが、弱小チームファンの悲しさか勝
利がまぐれにしか思えず
「どーせ負けるさ」と思っているうちに好機を逃してしまったのだ。
「大変だよなー、弱いとこだと」
 西村が勝ち誇る。ついに長嶋巨人が11.5ゲーム差をひっくり返して優勝した
のだから、もう狂喜もいいところだ。
 「メイクドラマ」を連発する西村に水上が「メイクドラマってドラマをメイクす
るんだろ?メイクドラマの完結じゃなくてドラマの完結じゃないかな」と冷やかし
ても、馬耳東風というかなんというか。
 サンフランシスコ・ジャイアンツがドジャースとパドリスの地区優勝に絡むこと
なく地区最下位になったこと、今週ニューヨーク・ジャイアンツがイーグルスに勝
てば地区2位タイだったにもかかわらず10−19で敗退して地区最下位タイであ
ることなど、どうでもいいらしい。
 今週、AFC西地区首位のブロンコス、星一つ差のチーフスはともに試合なし。
次週はチーフスが木曜日のナイトゲームでシアトル・シーホークスと対戦、ブロン
コスはボルティモア・レイバンズを迎え撃つ。その翌週に両チームはマイルハイス
タジアムで対戦するため、チーフスとしては木曜に6勝目を上げてブロンコスにプ
レッシャーをかけておきたいところだ。

 次週(第8週)
 ブロンコス  対 レイバンズ  (ブロンコスのホームゲーム)
  チーフス   対 シーホークス (チーフスのホームゲーム)
  ファルコンズ 対 カウボーイズ (カウボーイズのホームゲーム)
  ジャイアンツ 対 レッドスキンズ(レッドスキンズのホームゲーム)

                                                     −To be continued.−




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