#4707/7701 連載
★タイトル (TRG ) 96/ 6/22 21:49 ( 38)
感想を書こう>私家版・司法神官ドラクーン(5/5)松虫
★内容
わたしが促しても、ルースはのんびりと指を観察しているだけだ
った。
「大丈夫、もう動かないよ。彼女が気絶しちゃったからね」
プロトとケイラがレックスに歩み寄った。
「そっちも大丈夫。遺跡を動かしたり止めたりで精神力を使い果た
して、疲れて眠ってるだけだよ」
「あなたのけがは?」
「もう治っちゃったよ。それよりこれだ、これ」
遺跡の指をうれしそうになでまわす。放っておくとなめまわしか
ねない顔つきだ。
「これが噴火の中を泳いでたやつですね」
わたしも遺跡に近づいてみた。
「違うようだ。表面が少しも焼けていない」
「じゃ、ほかにもいるわけですか?」
「そういうことになるね」
「それもレックスが?」
「まだわからない。なんにしてもレックスは僕が預からせてもらう
よ」
「そんな。いくら事情があったにせよ、お尋ね者ですよ。このまま
連れて帰るわけにはいかないでしょう」
「今回だけだよ」
「あなたの今回は毎回じゃないですか。わたしは反対です。だいい
ち危険すぎます」
「この町の監獄に放り込む方がよっぽど危険だよ。これも世のため、
人のため」
「お尋ね者を見逃すのがですか?」
「おかしな事を言うね。これのどこがその少女に似てるってんだい」
ルースが懐から手配書を取り出した。やれやれ、口ではとてもか
なわない。
わたしは気を失ったままのレックスのからだを起こし、背嚢の帯
を片方外してレックスを背中にかついだ。意外に軽い。ルースも足
をひねったプロトを背負う。
「市場の元締めが感付いてますよ、きっと」
「もう一度きみの色香に惑わされてもらおう」
「それだけは絶対にいやですっ」
いつものことではあるが、最後にはルースの言うとおりになるこ
とはわかっていた。わたしはため息をひとつついた後、ケイラの手
を取って歩きだした。