#1139/1336 短編
★タイトル (XVB ) 98/12/ 5 0: 2 ( 51)
夢を主題とした三名と一頭の物語 $フィン
★内容
ある島に女の子がいる。新人女優がいる。女の子の加護者でもあり新人
女優のマネージャーでもある男がいる、そして小さな子供の白虎がいる。
誰も懐かなかった白虎が新人女優にだけ身体を嘗めるようにして擦りよ
せるようになった。新人女優は白虎との競演で世間の注目をかい、女優と
しての道を乗り出すようになった。そのとき女の子は男の加護を受ける身
のどこにでもいる子供であった。
やがて、女の子は大きくなって少女となり、新人女優は大女優と名され
るようになり、男は大型女優のマネージャーでもあり、少女を加護するだ
けでは手に余るようになった。そして小さな子供の白虎は大きくなり立派
な成獣となった。
少女は美しくなり、大女優は年月が過ぎ、美しかった自分の身が老いた
のを知り、男は大女優から少女を殺すように頼まれる。そして白虎は大女
優だけではなく少女にも懐くようになった。
少女は逃げ、女優は激怒し、男は女優の裸体と少女の顔をつけた蝋でで
きた人形をつくり白虎に与える。そして人の匂いがしない蝋人形に白虎は
気付き人形をずたずたに引き裂いた。
少女は海に入り、女優はとりあえず満足し、男は自分のしたことに後悔
し、老僧に頼んで少女の居所を探すよう頼みこんだ。そのとき白虎は何も
しなかった。
海の中ぷかぷかと浮かぶ壷の中に少女は眠っていた。女優は自分を脅か
した少女のことなど忘れ、他の役になりきることに専念し、男は壷の中の
少女のことを気を止めながら、女優のマネージャーとしての仕事を全うし
しようとした。そして白虎は以前引き裂いた蝋人形のことで腹を悪くしう
めいていた。
少女を乗せた壷は老僧によって大陸の浜辺で発見され、女優は邪魔な少
女がいなくても仕事につまずくことが多くなるのに気付き、男は忘れよう
とするのに少女の面影がまぶたに焼き付いて離れようとはしなかった。そ
して白虎は苦しんでいた。
少女は壷の中から救い出され、女優はますます仕事でつまずくようにな
り、男は少女が発見されるのを知るとマネーシャーをやめ少女の元へと走
った。白虎も少女のことを聞くと、今までのように年老いた女優との競演
に嫌気がさし、島を泳いで抜け出した。
少女は新人女優となり、女優は白虎がいなくなり女優としての仕事がで
きなくなり、男は少女のマネージャーとなり、少女との間に女の子を一人
もうけた。そして白虎は今は新人女優となった少女だけに懐くようになっ
った。
これから、新人女優、元女優、男、白虎、三名と一頭の新しい物語が始
まろうとしていた。
$フィン