#189/1336 短編
★タイトル (XVB ) 94/ 2/ 3 18:58 (109)
碁盤の二人 $フィン
★内容
[舞台がある。白い服をきた老人と黒い服をきた老人が碁盤を囲んで談笑している]
白い服の老人 「こりゃあ、困りましたなあ」
パチン
黒い服の老人 「何かいい手はありますか」
パチン
白い服の老人 「これではどうですか」
パチン
黒い服の老人 「いい考えですね。でもこれではまだ駄目ですよ」
パチン
白い服の老人 「そうですか。一発で逆転できると思ったのですけど」
パチン
黒い服の老人 「それじゃ、わたしがここに石を入れたらどうなります」
パチン
白い服の老人 「ありゃ、今までためていたのまでなくなってしまいましたね」
パチン
黒い服の老人 「いいですか。よく考えるのですよ」
パチン
白い服の老人 「はあ・・・」
パチン
黒い服の老人 「たとえばですね。今わたしの石がないとしますよ」
パチン
白い服の老人 「ふむふむ」
パチン
黒い服の老人 「それをどうやって増やすかが課題になってきます」
パチン
白い服の老人 「それじゃ、ここに石をおいたらいいじゃないですか」
パチン
黒い服の老人 「だめだめ、それじゃ先を考えないお猿さんと同じですよ」
パチン
白い服の老人 「あ、本当だ。わたしの分がなくなってしまいました。あはははは」
パチン
黒い服の老人 「猿の餌を7つを4つに減らそうとすれば、すぐにばれて猿たちは怒
りだします」
パチン
白い服の老人 「それは困ります」
パチン
黒い服の老人 「そこでですね。まず最初に朝3つ、夜1つを与えるのです」
パチン
白い服の老人 「それではそうしましょう」
パチン
黒い服の老人 「おそらくそのままでは猿たちがあなたの家まできて、あなたの倉に
はもっとあるじゃないかと云ってくるでしょう」
パチン
白い服の老人 「猿の力はあなどれませんからね。わたしは身ぐるみはがれてしまい
ます」
パチン
黒い服の老人 「猿たちがくるまえに、やり方を少しかえるだけでいいのです。朝1
つ、夜3つついでに餌の名前も変えてもいいでしょうね」
パチン
白い服の老人 「ふむふむ」
パチン
黒い服の老人 「おまえたちには4つしか餌を与えていないが、これにはわけがある
。 わたしには他の猿にも餌を与えなければならないそう云った後で、
死
にかけている猿をみせつけるのです」
パチン
白い服の老人 「するとどうなるのです」
パチン
黒い服の老人 「自分よりも哀れなものがいるといって猿は同情するのですよ。4つ
の餌でも自分たちはなんとかやっていける。残りの3つを哀れな生き
物に与えるのなら、なんとか我慢していこうと考える」
パチン
白い服の老人 「それじゃ、わたしは哀れな生き物に残りの3つの餌をやっていけば
いいのですね」
パチン
黒い服の老人 「誰がそんなことをいいました。それじゃあなたは以前とまったくか
わらないではないですか。哀れな生き物を彼らにみせつけたのは方便
ですよ」
パチン
白い服の老人 「こりゃあいい、それじゃ3つの餌がわたしの倉におさめておけばい
いですね」
パチン
黒い服の老人 「それではお猿の大将にばれて怒りだしますよ。腐りかけの餌を1つ
だけ哀れな生き物に与えてやればいいですよ」
パチン
白い服の老人 「腐りかけの餌ですか」
パチン
黒い服の老人 「ええ、餌は一つで十分です。腐りかけの餌は安いですからね・・・
でも腐りかけとはいえ餌は餌。猿たちの考えることは単純ですから、
餌を与えているという実績さえあれば納得しますよ」
パチン
白い服の老人 「わかりました。さっそく明日猿たちに云ってみましょう。へっへっ
わたしのところには2つの餌が残るってことですか」
パチン
黒い服の老人 「あ、それから。あなたの倉は小さいから入りきれないでしょう。わ
たしは大きな倉を持っていますから、毎日1つずつわたしの倉に入れ
ておきなさい」
パチン
白い服の老人 「ああ、これは先生。わたしもそうしようと思っていたところのです
よ。今後ともよろしくご教授願います」
パチン
黒い服の老人 「うむ」
パチン
白い服の老人 「やや、先生。いつの間にか碁盤が黒く染まっています」
パチン
黒い服の老人 「あはっはっはっはっ。我々は元から同じ石を持っていたのですよ」
パチン
白い服の老人 「そうでした。そうでした。わたしは先生と同じ黒い石を持っていた
のでしたよね」
パチン
白い服の下から黒い服があらわれる。
黒い服の老人たち「ふふふふふふふ」
[黒い碁石をポケットいっぱいに詰め込んた黒服の老人たちは笑いながら舞台から退場
する]
$フィン