AWC 告白の日           【メガネ】


        
#211/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (HRJ     )  87/ 7/ 7   0:31  ( 27)
告白の日           【メガネ】
★内容
「お早よー」
午前8時5分、今日も君は僕の家へ訪れる。
「早くしないと遅れちゃうよ!」
「分ったよ、直ぐに行くよ。」
僕は君に急されて食べかけのパンを口に放り込み、リボンシトロンで一気に流し込む。
「お待たせ。」
「いっつも遅いんだからー。また今日も遅刻のパターンよ!」
君は少しムッとしながら僕の前を走って行く。君と知り合って3年間、僕はずっと君の
後を追っていた。でも明日からは違う。君が僕の後に付いて来る様になるんだよ。
明日は高校3年間の終止符を打つ卒業式。僕は明日を待っている。月並みだけど、卒業
式の時に告白するなんて格好いいんじゃないか? 僕はそんな事を考えながらニヤケて
君の後を追って行った。
「ほら早く早く! ニヤケながら走ってないで!」
「分ってる分ってる! 此でも全力だしてんだぜ!」
僕は君と違って走るのは苦手なんだよ! 3年間毎朝一緒に走ってりゃ判るだろう?
よーしたまには君を追い抜いてみるか。僕は少しスピードをあげる。
君は僕を見て楽しそうに笑い、滑る様に走るスピードをあげた。
が、次の瞬間君の脚は地面についていなかった。
「え?」
僕は君の横の方を見た。君を飛ばした赤い車が急ブレーキをかけていた。

僕は君を待っていた。今日は君に告白する日。今日くらいは君に怒られない様に
直ぐに走れる体勢が整っている。僕は君を待っていた。

午前8時5分、今日は君は僕の家を訪れなかった。






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