AWC ミステリーのトリックで騙されるのは何故楽しいのか 朝霧三郎


        
#3696/3706 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (sab     )  25/11/21  13:07  ( 47)
ミステリーのトリックで騙されるのは何故楽しいのか 朝霧三郎
★内容

普通、騙されれば不快な筈なのに。

ふと思い出す、岸田秀という(昔有名だった。「ものぐさ精神分析」などで)
心理学者がいるのだが。
この人は、子供の頃、母に愛されていて、
母は何でも買ってくれた、ギターでも何でも、
しかし、勉強に必要な文房具や本は買ってくれなかった、
と言っていたんですね。
後年(50を過ぎた頃か)、今度は、
母は自分を愛してはいなかった、と言い出す。
ただ家業を継がせる為に遊びに使うものを買い与えたのだ、
勉強の道に進んで家業を継がないと困るので文房具は買ってくれなかったのだ、
と言い出す。
自分は愛されていなかった、と知って、愕然とするのですが。
当然愛してくれるであろう母が愛してくれてはいなかった、
というので愕然とする。
そして母の写真をちぎって燃やす。
これって、ミステリーのミスリードみたいな感じですよね。
岸田秀に限らず、人は、何かを与えられると、
そんなに上手く行く訳ない、と思うところがあって、
後で取り上げられると、
やっぱりダメだったんだ、とがっかりする、
というか納得するところがあるんですね。
こういうのを、自罰パラノイア(自分で自分は愛されないと思っていて、
だから愛を得ると、これは何かの嘘と思って自分で罰を与える)
とも言えると思うのですが。
ミステリーで、ミスリードで騙されて、種明かしされて、
やっぱり違っていた、
と思うのは、自罰パラノイアに似ているのではないか、と思いましたね。
人間は、何かラッキーな事が起こりそうで、
上手く行くかも知れない(ミステリーのミスリード)と思って、
やっぱりダメだった(謎解き)という事態になると、
がっかりもするが、納得もするんですね。
人がミステリーのミスリードと謎解きを好むのはこういう心理ではないか、
と思うのですが。
(追記)
そんな事じゃないかも知れない。
ミステリーを書いていて、思想もないとつまらない、
と、小難しい思想を書くのですが、非常につまらないと感じるんですね。
本格ミステリー的な謎解きがないと読者は飽きてしまうよ、と思える。
という事は、本格ミステリー的な「お約束」が言語の様な役割をしていて、
言葉が通じるから楽しい、と思えるのかも知れない。

などと思いました。

ではまた。





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