AWC メジャーな人のマイナーな作品?   永山


        
#2454/3619 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  22/10/22  19:40  ( 40)
メジャーな人のマイナーな作品?   永山
★内容
 BS日テレで放送の松本清張ドラマ「花氷 ―野望の果て―」を録画視聴。一応、ネ
タバレ注意です。
 初回放送は一九八二年の火曜サスペンス劇場枠。何と、四十年前! 主演の近藤正臣
が若い。その部下役の石田純一はもっと若くて、どことなくえなりかずきっぽい。(^^;
 原作は松本清張『花氷』、未読です。このタイトル自体、今回初めて見聞きしまし
た。
 感想は……仮に、初めて経験する松本清張作品がこのドラマだったら、他の清張作品
を観ようとは思わないだろうなって。それだけ、異質なものを感じました。
 まず、火曜サスペンス劇場自体がまだフォーマットを固め切れていなかったのか、
オープニングの音楽の使い方が微妙に違うような。ドラマそのものも、短いカットを交
互に長々とつなげたり、カメラを手持ちしてブレブレの映像を多用したり、BGMが場
面にそぐわぬ妙に明るいものだったりと、違和感を覚えたです。
 内容については、松本清張にしては異色の部類に入るのかな。あらすじはネットで検
索してみてくださいと言うにとどめます。それだけ読むと、社会派っぽく感じるんです
が、実際のドラマはどうも違う。主役の男が二人の女を操って云々とあるから知能犯的
な物をイメージしていたら、単に女たらしなだけで、いくら近藤正臣が二枚目であって
も、女性二人が唯々諾々と従うのが不思議。
 銀行の課長も、いい大人がそれってどうなん?」と言いたくなるくらい、馬鹿正直な
性格。近藤の口車に乗せられて従うのはまだいいとしても、近藤の元妻に入れ込んでい
て(妻帯者で馬鹿正直、生真面目キャラなのに浮気というのもよく分からない設定)、
アパートに押し掛けて来て、居留守を使われる明朝まで粘る。近藤と元妻が関係を持っ
たらしいと知ると、おかしくなって、銀行を辞め、女のアパートに乗り込んできて、近
藤らにされたことをアパート中に言い触らそうとする。そこへ課長の奥さんがやって来
て、止めようとすると、その奥さんに泣きついて「こんなことされたんだ〜」と訴え
る。ほんと、どういう性格なんだろー。挙げ句の果てに、女を刺し殺し、自身は首吊り
自殺。それならそうと、初登場時から変人的な真面目さの持ち主らしく描くべきだっ
た。
 その他、近藤が不動産で大儲けを目論んで、色々動くんですが、それがまたほぼほぼ
とんとん拍子で、現実味は薄い。しかも近藤と、彼と組んでいる銀行の支店長が、こと
がうまく運ぶ度に子供みたいにはしゃいで喜びを表す。
 近藤に操られていた女性の一人は、計画が完遂したと聞いて(実際は最後の詰めが残
っていた)、それまで近藤の指図で嫌々寝ていた代議士に対し、本心をぶちまけてけち
ょんけちょんにこき下ろす。クラブ(お酒が飲めるとこね)を持つママさんが、そんな
愚かなことするかなあ? 代議士をつなぎ止めておけば、計画とは関係なしに、店にお
金を落として行ってくれるだろうし、逆に悪い評判が広がれば立ち行かなくなる恐れが
高い訳で。よっぽど嫌だったのか。
 で、結局のところブラックなコメディに思えた。ややこしくて面倒な箇所は敢えて軽
く流して、戯画的に表現したって感じ。

 ではでは。





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