#2332/3610 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 22/08/27 17:19 ( 35)
まさかのダブルで 永山
★内容
WOWOWで放送の映画「空飛ぶタイヤ」(二〇一八年 日本)を録画視聴。ネタバ
レ注意です。
原作は池井戸潤の同名小説で、実際に起きた事故及びリコール隠し事件をモデルにし
たとされています。未読ですが、おおよその内容は把握していました。
序盤から三分の一ぐらいまでの粗筋は――運送及び自動車整備を業務とする赤松運送
の所有するトラックが、業務中に事故を起こす。走行中にタイヤが外れ、歩道を歩いて
いた母子に激突。母親が死亡、子が軽傷を負うという惨事になった。所有トラックを自
社内で整備していたこともあって赤松運送は非難の矢面に立たされるが、事故を起こし
た車両を整備した若手社員はきちんと整備しており、通常項目外まで点検し、異常なし
を確認していた。にもかかわらず、トラックのメーカーであるホープ自動車が出した調
査報告で、事故の原因は整備不良とされ。赤松運送は会社として危機に陥る。果たし
て、事故の原因は? 裏に何か隠されているのか? 赤松の戦いが始まる――ってな具
合。
巨大スポンサーとなり得る自動車メーカー、そのリコール隠しをテーマにしているた
め、地上波では映画版もドラマ版も放送は無理だろうとされている作品ですが、本映画
は別の点からも、現在地上波放送は厳しいかも。木下ほうかと木下隆行が出演してお
り、敬遠されそう。
そこはさておき、物語としては面白い。池井戸潤らしい企業小説(映画)で、だいた
いのパターン――山あり谷あり、主人公のピンチからの逆転――は読めると思います
が、それでもなお引き込まれるのは題材の力でしょうか。人物の動きがやや都合がいい
箇所もありますが、概ね筋の通ったストーリーと言えます。
役者の演技面は最高には届かないとしても、そのすぐ下に付けるくらいの高評価を出
していいんじゃないかと。「この役にはこの人じゃなく別の人がいいんじゃないの」
「この役をやるには若すぎるんじゃないの」と感じる部分が結構多くあるんですが、い
つまでもベテランに頼っていられない、若い人をもっと育てなければという意志が感じ
られたような配役。尤も、若い若いと言ってもみんな名を知られた俳優ばかりで、凄く
豪華なんですが。
気になったのは、場面転換の多さ・早さ。とにかく頻繁に切り替わる。細切れをつな
ぎ合わせたような造りで、映画館で観たとしたら着いて行くのがしんどかった可能性大
だなぁ。そもそも百二十分に収まるような内容じゃなかった気がする。説明的な台詞や
シーンはほとんどなかったことからも、絞りに絞って百二十分に詰め込んだじゃないか
しらん。できればもっと時間を掛けて、連続ドラマで観てみたい作品。※WOWOW制
作の連ドラ版が二〇〇九年にあるのですが、何故か当時観なかった(はず)。(^^;
ではでは。