#2105/3709 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 22/02/11 20:44 ( 40)
どんなに道が遠くても 永山
★内容
小説投稿サイトで読まれにくいとされるジャンルの一つに、ミステリ・推理物が挙げ
られると思います。もちろん中には、人気ジャンルの作品に匹敵するくらい読まれてい
る作品があるにはあるのでしょうが、総数としては少ない印象を受けます。
一方、世間一般では推理小説はそれなりに売れているように感じますし、時折ヒット
作が出ている。1シーズンに放映される連続物のテレビドラマの半数ぐらいは、推理物
と呼べそう(刑事物や弁護士・法廷物、法医学物を含む)なくらいには人気はあるよう
にも思う。この乖離は何なのか。
原因を想像(あくまで想像。統計やアンケートを取った訳ではありません)してみる
に……まず絶対数が少ない、故に目立たないというのがあるかもしれない。
推理物は、小説をこれから書き始めようという人には難しいジャンルの一つと思われ
ているのか、最初に推理物から着手する人は意外に少ない気がする。独特の作法や用
語、暗黙のルールみたいな物があるし、知識も必要だし……と確かに敬遠したくなる要
素がいっぱい。多数のジャンルがある小説投稿サイトにおいて、作品数が少ないとそれ
だけ目立ちにくい。
二つ目の原因として浮かんだのは、話の進むスピード。仮に毎日数千文字ずつ更新す
るとして、推理物だと(場面にもよりましょうが)案外進まないし、場面が変わること
も少ない。検死結果に延々と言及するだけとか、探偵役とワトソン役が喫茶店で推理を
ぶつけ合うのに終始するとかでその回はおしまい、なんてことがいくらでもあり得る。
さらに言えば、ジャンルならではの“お約束”がそれなりにある割に、それらを簡略化
して書くのが難しい。というのも、推理物だとそういったお約束展開の中に伏線や手掛
かりを偲ばせるのが手法の一つなのだから、そこを簡略化したり、斜め読みされる書き
方をしたりしていては、醍醐味を味わってもらえなくなる。
三つ目、というか真っ先に思い付いた原因をラストに書きますと……まず、推理物は
他のジャンルと比べると、途中が面白くなくても最後の最後で一発何か決めればそれだ
けで評価がぐんと上がる可能性が高いと言えそうです。空前絶後の大掛かりなトリック
が明かされる、超意外な犯人が指摘される、叙述トリックによりそれまでの世界観がひ
っくり返る等々。そんなジャンル特有の性質は、小説投稿サイトの読者で多数を占める
層の好みとは相容れないのではないか。序盤から引き込まれ、というか序盤に引き込ま
れたからこそ続けて読み、以降、飽きさせないエピソード・イベントが最後まで適宜配
されている――これが小説投稿サイトで読まれる作品の基本形でしょう、多分。逆に言
えば、途中でつまらなくなればすぐに切られる。
推理物の方は序盤に掴みらしき事件は起きるにしても、それ以後の面白さの維持が難
しい。むしろ、最後のどんでん返しのために色々仕込んだ結果、道行きは退屈で仕方が
ない代物になっていても全然不思議じゃない。基本的に、推理物は読者に辛抱をお願い
するジャンルなのかも。これでは読まれない、恐らく。(^^: そして対策が思い付かな
いのがまた困りもの。(-_-;)
ではでは。