#1850/3614 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 21/07/14 20:12 ( 22)
幼い頃には怖く見えた 永山
★内容
スカパー!お試しを利して、日本映画専門チャンネルで放送の松本清張ドラマ「帝銀
事件・大量殺人獄中32年の死刑囚」を録画視聴。ネタバレ注意です。
むか〜し、小学生の頃に一度地上波で観た覚えがあります。それだけ印象的だった証
で、特にラストに画面いっぱいに映る、平沢貞通の顔を表したイラストがひどく恐ろし
げなものとして記憶に残っていたので。今回、改めて見てみると、シンプルに恐ろしい
というよりも、幽鬼のようで見方によってはぞくりとする絵でした。
内容の方もだいぶ忘れていましたが、大筋はもちろん覚えており、記憶を補完しなが
ら観ている感じになりました。当初は中毒発生と思われたため現場が荒らされてしまっ
たことによる弊害、田中邦衛演じる刑事の強い思い込みによる捜査、GHQの要請によ
る731部隊関連の捜査打ち切り、物的証拠ほぼ皆無、首実検の結果や犯人の用いた品
(とされる物)の恣意的な解釈、アリバイ証言無視と、誤審を疑われる要素に溢れてい
る。特に最後に記したアリバイに関しては、検察側が主張する犯人の行動だと、駅と犯
行現場近くに同時に現れることになるのに、証人(米軍関係者)を呼ぼうとしない。証
人は数ヶ月後に帰国(させられたとドラマ内では表現)して、それっきり。真相を究明
する気はなく、GHQの顔色を窺って決めた着地点という印象が強く残る構成でした。
その一方で、平沢貞通に対する疑問も一通り示してはいたかな。黙秘を通した金の出
所についての仮説は省かれていたけど。
現実を基にしているとは言えここまで重厚な作品を書く一方で、前回感想を記した
『声』みたいなのも書けるとは、松本清張の創作姿勢は相当柔軟なのかもしれない。(^
^;
ではでは。