#1849/3614 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 21/07/13 20:05 ( 26)
声ワダカマリン 永山
★内容
スカパー!お試しを利してホームドラマチャンネルで放送の松本清張ドラマ「声」を
録画視聴。ネタバレ注意です。
時代を感じさせる作りでした。サスペンスと言うよりかスリラーです。その点は流行
り廃りがあるでしょうし、別にかまわないんです。気になったのは、あまりにも偶然多
用のお手軽な筋書きにしてあること。電話交換手A女が、殺人がまさに行われている家
へ電話する、その電話に犯人が何故か出る、犯人一味とAの夫とは仕事上のつながりが
ある、犯人はAを始末しようと勤め先まで行き、Aの同僚がAの分もタイムカードをパ
ンチするところを目撃する、記者と称して接してきた犯人にAの同僚はAを名乗る、ス
キー旅行先でAとAの同僚がたまたま同じ宿に泊まる等々、偶然のオンパレード。多少
の偶然なら物語作りに取り入れざるを得ないことはいくらでもあるでしょう。けれど
も、本作はやり過ぎの部類に入ると思う。正直言って、手を抜いているな〜って感じた
くらい。
理由もなく次から次に不運に見舞われるタイプの物語は確かにありますけど、その場
合、そこはかとなく理不尽さを演出として匂わせるのが常道だと思います。が、本ドラ
マではそれが一切ない。ひょっとしたら大真面目なシリアス物として制作したのかもし
れません。だとしたら、だいぶ工夫が足りないな〜と。偶然を多用する場合は、せめて
視聴者(読者)にそのことをなるべく気付かせないだけの工夫が必要だと、前々から考
えております。
よかったのは、説明的な描写が少ないこと。いや、場面によっては説明的なこともあ
りましたが、総体に必要最低限の描写で済ませている。これでも充分理解できるし、緊
張感を保てるのがいいですね。その緊張感も、先述の偶然過多のおかげで、つっこみの
連続になってしまったのが残念。
まあ、松本清張もこんな通俗的な物を書いていたんだ(原作は未読ですが)という風
に受け止めれば、珍品を観ることができたな〜となるかも。
ではでは。