AWC すっぱいスパイ酢   永山


        
#1843/3614 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  21/07/07  20:00  ( 43)
すっぱいスパイ酢   永山
★内容
 スカパー!お試しを利して、日本映画チャンネルで放送の松本清張ドラマ「風の息」
を録画視聴。ネタバレ注意です。
 原作小説は松本清張の同名小説で、未読です。有名な飛行機事故を扱った作品だとし
て概略を知っていた程度。
 昭和二十七年四月に発生した日本航空もく星号墜落事故を題材に取った謀略サスペン
ス物になるのかな。事故から十三年が経った昭和四十年。当時航空管制を受け持ってい
たジョンソン基地の管制官が、もく星号に対して、高さ約二千五百フィートの大島に向
けて高度二千フィートで飛行する指示を出素という不可解な事実に端を発し、調査を進
める男女。程なくして、米軍による隠蔽・陰謀があったのではないかとの仮説に至る。
だがすでに、この事故の真相を追った者達や重要な目撃者・証人たり得る人物らが、揃
って事故死を遂げている。主役二人も、証拠を求めて関係者に当たっていく内に、危険
が迫る。
 と、あらすじを記すとざっとこんな具合になります。
 正直なところ、出だしの事実に基づく部分は、不可解な点を分かり易く提示してお
り、引き込まれるのですが、その後の展開がいけない。一介の大学院生が大島を旅し
て、墜落現場でアクセサリーを拾う。それを趣味仲間の記者や古書店主に見せると、事
故の犠牲者で唯一の女性客の持ち物かもしれないと言い出す。さらに古書店に飛行機関
連の書物ばかりをまとめて売りに来た女性の話になって、その中にもく星号事故に関係
するメモ書きがあった。――ここまででもかなり偶然が働いています。
 大学院生は記者と店主に言われ、同様の書籍がもっとないかを聞きに、売主の家を訪
れる。そこでたまたま女が追い返される場面に出くわす。女はもく星号事故の真相解明
に執念を燃やしており、何年も調べている。
 で、大学院生も何故か本格的な調査を開始。最初は女に翻弄されるも、いつしか共に
行動するようになっていった。この辺の大学院生の行動原理が分からない。身近な人や
親戚が同事故で亡くなっているとかでなく、単なる興味らしい。一応、もく星号に取り
憑かれたと表現していたけど。最初から新聞記者か何か職業的な理由で調査する立場の
人間にしておけばいいのに、どうして大学院生を主役として動かしたんだろう?
 また、調査の過程で日本のあちこちを回るんですが、何だか恣意的なものを感じたで
す。各地を満遍なく出しておこう、みたいな。この手法ならいくらでも分量を稼げそ
う。
 もしかすると、本作は全国紙誌の連載小説で読者サービスとして各地を出したのか
な、と思ったんですが、調べてみると本作は連載は連載でも、「赤旗」に掲載されてい
たとか。読者サービスとは無縁そう? うーん。
 もう一点、感心しなかったのは、サスペンス感があんまり伝わって来なかった点。主
役二人が、怪しい影に気付いて緊張した面持ちで警戒を高めるんですが、それがほとん
ど視聴者には届いていないのではと思えた。型にはまったスリラーってな色合いが濃
く、いまいち乗れなかったな。
 CIA・米国のスパイは外国人とは限らない、日本人にもいる、という話を台詞に出
してきたから、当然、意外な日本人スパイの正体が終盤になって明かされるんだろうと
思ってました。が、スパイの出て来る気配は一切なく、終わった。暗示じゃなかった
のー?(^^;と逆に騙された気分になってしまった。

 ではでは。





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