AWC 戦国演義(3)              早川龍胤


        
#241/1160 ●連載
★タイトル (yiu     )  04/04/11  17:40  ( 41)
戦国演義(3)              早川龍胤
★内容
尾張の町は素朴さと華やかさを併せ持っていた。
-----------------これが城下町っていうやつか・・・。
竹千代は町並みを眺めながら思った。行商人のように陶磁器やら米やら具足を背負って
いる。これを今から売りだし身形を整えてから、竹千代は平八郎忠勝から教えられた織
田信秀という人物に面会しようと思っていた。早速売り出してみた。鎧屋は城下だけあ
って大きかった。
「あの、この具足を売りたいのですが。」
そう云うと、暖簾の奥から髭を蓄えた算術に精通していそうな商人が出てきた。
「此方ですか。なかなか傷がありますね。」
「幾らになりますか?」
「二貫六百文でいかがでしょうか。」
「もう少し高くできませんかね・・・・・。」
「然し、此方も商売でしてね・・。」
「このような身形では、信秀様には失礼にあたるのです。」
竹千代が信秀に面会することを告げると、商人は慌てたように値打ちを高騰させた。
「ようござんす。では、十八貫二百文にさせていただきます。」
「有難う。」
代金を受け取ると急いで巾着に納金した。その他、陶磁器や米は思いのほか高く売れ
た。総額、四十八貫二百文。身形を整えるには充分だった。竹千代はすぐさま、呉服店
に向かった。商店街の中では一番大きな店らしい。先程立ち寄った鎧屋とは比べ物にな
らない程の規模だった。店の内装は全て朱子色で染めてあった。今まで見たことのない
光景に竹千代は圧倒された。
「いらっしゃいませ。」
店員が店の前で立ち往生している竹千代に気がついた。
「あの、着物が欲しいのですが。」
「はぁ・・。どれにしますか?」
と云いつつ店員は、竹千代のだらしない身形の見て違和感の持ったのは顔で見て取れ
た。どれもこれも山村で見たことのない着物ばかりだった。質素な緑に萌黄色で染めた
家紋いりのものや、朱色ですべて染めたもの。数ある中で竹千代は前者を購入した。
「ありがとうございます。」
竹千代はその場で着てみた。新しい着物に袖に腕を通すと、着物の感触がとても心地よ
かった。
 酒場で腹ごしらえをした後、竹千代は城門へと向かった。石垣は息を呑むほどに聳え
ていた。
「おい。そこの者、名乗れ。」
城門兵が怒鳴った。
「それがしは、竹千代と申す。信秀様にお目通り願いたい。」
「小僧が。生意気だ。去れ。」
城門兵に名乗ると、大名に関連してないためか、追いやられてしまった。仕方なく先程
食事をした酒場で悩んだ。すると其処へ、萌黄の着物を着て巾着を八つも腰にぶら下げ
た風変わりな青年が数人の若者を率いて酒場に押し入ってきた------------。 





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