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★タイトル (AZA ) 10/05/20 21:18 ( 25)
本の感想>『本格推理11』 永山
★内容
・『本格推理11』(鮎川哲也 編 光文社文庫)11/5330
酔っ払った男が用足しのために入り込んだビルは、殺人請負会社の事務所だ
った? 追われる羽目になった男を次々と襲う摩訶不思議な現象(「魔術師の
夜」)。キャンプに出掛けた学生の間で、賭けが成立する。電話などの連絡手
段が一切ない土地から、特定の人物へ特定のメッセージをどうやって伝えるか
(「キャンプでの出来事」)。夜、飲み会に繰り出そうとした会社員のグルー
プが、忘れ物のおかげで会社に引き返す。折しも起きた地震のせいでエレベー
ターに閉じ込められ、そこで一人が殺される。何故犯人はわざわざ密閉状況で
殺人を犯したのか(「暗い箱の中で」)。
十二人のアマチュア作家作品を収めたアンソロジー。
むー、『新・本格推理』シリーズと立て続けに読んだせいか、やけに物足り
なく写った。収録作の内半数以上が、予想した通りのトリックだったり、ぱっ
と閃いた通りの展開に終始したりと、大した驚きを与えてくれず。
よかったのは上にも記した三作ですが、「魔術師の夜」は建物が消え失せる
謎が魅力的なものの、規定枚数の都合か改めが甘く、他の可能性を消し切れて
いない感。唐突なラストもプラスにはなっていない気がする。
「キャンプでの出来事」は、パズルのための物語って雰囲気。大学生が男四
人で人里離れた場所へキャンプに行き、釣りをして満足しているという構図が
何とも。それ自体は否定しないが、そういうタイプの人間らしく描けていない
のが残念。
「暗い箱の中で」は後に長編デビューした人の作品で、短編集に収録された
物を既読。順番が後先になって、今頃読んだ私も悪いんだけど。
ではでは。