AWC 本の感想>『六つの奇妙なもの』   永山


        
#5217/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  08/10/28  20:49  ( 26)
本の感想>『六つの奇妙なもの』   永山
★内容
・『六つの奇妙なもの』(クリストファー・セント・ジョン・スプリッグ/
              水野恵 訳 論創海外ミステリ)4551/15
 伯父からの独立を心より願うマージョリーは、以前、喫茶店で声を掛けてき
た一風変わった人物を思い出し、訪ねることにした。その人物、マイケル・ク
リスピンは霊媒と称し、降霊会を催していた。降霊会の記録を付ける仕事を得
たマージョリーは、不可思議な出来事を体験するようになる。最初は霊的な体
験だったのが、やがて彼女自身が霊媒の力を発揮し始めたらしく、ひどい幻覚
に悩まされるように。
 マージョリーの婚約者・テッドは、一時的に彼女と喧嘩別れしたものの、そ
の窮地を聞き付け、救い出そうと降霊会に潜入するが……。
 夭折した作家スプリッグの死後出版された、奇妙な味に溢れた異色ミステリ。

 錯綜するプロットを簡明な言葉と表現で綴っており、非常に読み易いです。
このあとどうなるんだ?と引き込まれ、一気に読めます。
 一九三七年に出版された作品ですが、当時の流行りを取り入れたんだろうな
と思える点がいくつかあります。今日では手垢の付いた舞台設定も、当時は斬
新だったんでしょう。
 帯には異色本格と銘打たれていますが、どちらかといえば、冒険小説の趣が
強いです。提示される謎は本格らしくありますが、そのトリックはちょっと首
を傾げたくなる解決でした。また、手掛かりこそ与えられるものの、ロジック
よりも犯人側の自白で真相が明らかになる部分が多かった気がします。
 それでも謎解きの手前までは、異様な面白さに魅了されました。犯人が明ら
かになったあとの展開も、犯人の悪魔的性質が描かれており、読者を最後まで
楽しませようというサービス精神旺盛な作品です。

 ではでは。





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