AWC 本の感想>『川に死体のある風景』   永山


        
#5173/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  08/09/29  20:17  ( 26)
本の感想>『川に死体のある風景』   永山
★内容
・『川に死体のある風景』(歌野晶午他 東京創元社)14/5441
 死体のふりをしてどこまで下流に流れて行けるかを賭けた高校生。見届け訳
の友人二人が相次いで殺された(「玉川上死」歌野晶午)。川底の同じ場所で、
三台の車が沈んでいた。中にはそれぞれ死体が一つずつ(「水底の連鎖」黒田
研二)。雪山で遭難した男を助けるために捜索に加わった山岳会。連絡役とし
て小屋に残った男が、何故か沢へ転落して死ぬ(「捜索者」大倉崇裕)。弾を
撃ち込まれた男三人が続けざまに川を漂った。同日、監獄では、監獄内にいる
はずのない男が脱走を試み、射殺される(「この世でいちばん珍しい水死人」
佳多山大地)。他二編。川と死体をテーマに、六人の作家が鎬を削ったミステ
リー・アンソロジー。

 粗筋では触れなかった二編の作者、綾辻行人と有栖川有栖が執筆陣の中では
一,二の知名度を誇ると思うんですが、このアンソロジーに限っては、内容は
下から一,二を争った感じ。綾辻作品はホラーがかっているし、有栖川作品は
江神シリーズにしなくていい内容。
 粗筋を触れた四編は、どれも楽しめました。伏線をきちんと張ってくれてい
たら、佳多山作品を一押しにするのですが、そこまで端正な本格推理ではなか
ったので残念。歌野作品は、無理に引き延ばしたようなところが惜しい。黒田
作品と大倉作品はやや強引か。てことで、一長一短はあるものの、充分に面白
いミステリーに仕上がっていたと思います。
 この漠然としたテーマのアンソロジーに期待していなかった分、結構、得し
た気分が味わえたような。

 てことで、安楽椅子探偵では綾辻と有栖川のテクニックに期待しているぞ。

 ではでは。





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