AWC 本の感想>『御手洗潔対シャーロック・ホームズ』   永山


        
#3097/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  05/10/20  22:47  ( 36)
本の感想>『御手洗潔対シャーロック・ホームズ』   永山
★内容
 「ホームレス」と書いてあるのを一瞬、「ホームズ」と読んでしまうミステ
リ好きのさが。 orz

本の感想>『御手洗潔対シャーロック・ホームズ』(柄刀一 原書房)
                            17/6542
 ノーベル賞授賞式会場にて、御手洗が受け取った盾の役割とは(「青の広間
の御手洗」)。遺跡の逆さ階段を昇る妖精、そのそばに逆様に置かれた遺体は
紫色のペンキで塗られていた(「シリウスの雫」)。現代日本で暮らすホーム
ズとワトソンが、犯罪現場を再現した研究室で起きた、密室での死の謎に挑む
(「緋色の紛糾」)。依頼により、秘密の写真を奪還するため、愛鈴・アドラ
ーの邸宅に入り込んだホームズ達は、そこで予想外の殺人事件に巻き込まれる
(「ボヘミアンの秋分」)。巨人の仕業としか思えない不可思議な現象を、シ
ャーロック・ホームズと御手洗潔が鮮やかに解き明かす(「巨人幻想」)。
 ミステリファンの夢を実現させた中編を含む、ホームズシリーズおよび御手
洗シリーズのパスティーシュ。

 ホームズの推理ぶりを一部茶化している「緋色の紛糾」を除けば、どれも名
探偵に敬意を表した作品に仕上がっており、パスティーシュとしての標準ライ
ンを充分にクリアしているでしょう。「緋色の紛糾」もパロディとして楽しめ
ます。
 ミステリとしては、「青の広間の御手洗」にはほとんどミステリ風味はない
ものの、残りの四編は文句なく、本格ミステリとして成立しています(出来映
えにばらつきはあるが、いずれも合格点は出せる)。「青の広間・」にしても、
いかにも島田荘司の書いた御手洗潔の近況報告といった感じで、悪くはありま
せん。
 編中の白眉は、やはり「巨人幻想」。御手洗もホームズも単独で名探偵なん
だし、二人で取り掛かる必要ないだろと思わないでもないけれど、そこはそれ。
二人が初めて会う場面には、ぞくぞくさせられました。御手洗達がホームズ達
を当たり前のように認識するのではなく、なるべくきちんと段階を踏んで描い
ている点もよし。
 巻末に付された島田荘司による“石岡とワトソンの往復書簡”は、遊び心に
溢れていて、笑ってしまった。この二人の記述者なら、さもありなん。
 ホームズ物、御手洗物の双方を知っていないと、存分には楽しめないかもし
れないが、それでもなお、一読の価値あり。

 ではでは。ホームズに自転車と来れば、「美しき自転車乗り」。





前のメッセージ 次のメッセージ 
「◇フレッシュボイス過去ログ」一覧 永山の作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE