AWC 【ノルウエイの森を読んでいる】秋本 88・1・3


        
#648/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (FXG     )  88/ 1/ 3  22:45  (121)
【ノルウエイの森を読んでいる】秋本 88・1・3
★内容
今から書くことは小説ではありません。評論のような形のあるものでもありません。
ただ、思ったこと。雑感と云ったほうが適当かも知れません。
「フレッシュ・ボイス」の方に書く方がいいのかも知れませんが、少し真面目になっ
てしまったので、ここに【 】でくくって書かせてもらうことにしました。
今、一月三日の午前三時二十五分です。
わたしはさっきまで村上春樹さんの「ノルウエイの森」を読んでいたのです。
読み終えてはいません。もう少しで上巻が終わりになるという、そんなところです。
この正月休みに十九冊の本を消化しなくてはいけないので、ケッタッキ−・フライド
チキンをほうばりながら、ドンドン片づけていっていたのですが、ここに来て、とう
とう前に進まなくなってしまったのです。この本を読み始めたのが原因です。
困りました。極端な話、一ペ−ジ読む度に、本を置いてあれこれ考えてしまうのです。
これはわたしがいい本に巡り合った時の昔の癖でした。
小説類を敬遠するようになって、随分になります。小説は小間切れではなく一気に読
むのが常套だと、それが凡そ不可能になった現在では、ですから主に読むのはノンフ
ィクションかエッセイに限ってきたわけです。
ところが、このAWCに入って、短いながらも何か書くようになりました。
そして、小説を久しく読んでいないことに一抹の淋しさを抱くようになってきたので
す。普段は仕事をしている都合上、この正月休みはもってこいの機会でした。
村上さんの本は今の若い人によく読まれていると聞いていましたし、一冊くらい読ん
でいてもいいなくらいの気持ちで最新作である、この本を買いました。そうしたら
ええい!昔の感性が戻ってきてしまった。
困った。非常に困ったことになった。これでは仕事ができそうもない。
夜だ。そうだ夜がいけないんだ。読むのやめよう。なんて決意して、本を置いても、
眠れずに、また本を手にしてしまっているんです。
書き方を少し変えました。本来の秋本調に戻して、大雑把にバッサバッサと書いてい
こう。そうすることで、この変調から少しでも抜け出さなくては。
要するに何が云いたいかというと、困ってしまったということです。歯歯歯!
やはりこれは純文学だったということですね。まずいものを読んでしまった。
しかし、もうあとへは引けない。仕様がない。
はじめは冷静だったんですよ、これでも。
読み始めは、ああ、これは古臭いなあ、なんて。今時こんな若いのはおらん。
だから小説は売れなくなるんだ、なんて。今の若者を描いているのは漫画しかないん
じゃないか。その中では内田春菊さんが一等近いんじゃないか、なんて。
上巻の真ん中あたりで小林書店の女の子なんか出てきて、あっこんなのは、それこそ
一昔前の演劇かぶれのいけすかない女にみられるような、でも今では絶滅している筈
のタイプだ。こういうのを今さら出してきて、どうすんだ、なんて。
ところがこの子がいいんですよね。読み進めていくと段々よくなる。生きてくる。
かわいくなる。やはりプロはえ・ら・い!
読んできてわかったのは時代があのわたしの学生時代ちょっと前、だということ。
そうなるとなる程、こういう女の子もいてもおかしくない。
でも、今の若い人が本当にこの本を買っているのかしらん。実は我々の世代が買って
いるんではないのか。この手のお真面目タイプの小説をあのプッツン・キャピキャピ
ギャルが買うというのは俄には信じられないのです。
まあ、それはそれで置いておきましょう。
上巻最後くらいになって、直子さんというこのお話の主人公がいよいよ本格的に登場
してまいったあたりから、わたくしがオカシクなってまいりました。のです。
(おお。いかん。しばらく休憩しよう)
歯歯歯!いやあ、元気になってしまった。やはり正解であった。これで仕事ができそ
うだ。しかし、まだ下巻が残っている。これから朝にかけて一気に読んでしまおう。
うん、よし!元気になった。いい加減が戻ってきた。よっしゃ、これで書くのは止め
よう。歯歯歯!どうもすいませんねえ。ほんじゃ、これで。
*****************************
と、上の段までがひと眠りする前。
そして、今は三日の午後七時半です。
まだ「ノルウエイの森」を読んでいるんですねえ、これが。下巻の真ん中。
全く先へ進まないんです。おかげで今日の予定は全てパアです。
お年玉を配りにも行ってない。年賀状の返事も出さず仕舞い。
滅茶苦茶な生活になってしまいました。こうなるんですよねえ。わたしは。
これが怖いばっかりに真面目な話は読まないことにしてたんですが−もう遅い。
それに単行本十九冊はあきらめました。これを真ん中にもってきたのが敗因です。
インパクトの強い話です。これだから青春小説は嫌いなんです。
メガネさんの作品に出てきたようなやけに古めかしくも品のある素直な女性みたいな
人もでてきますよ。夢野さんの作品に出てくるような、すぐ死んでしまう素敵な女性
もでてきます。クエストさんの作品にあるようなエッチもふんだんにあります。
そして、これがプロの作品なんです。
ああ、また夜になっていく。早く読み終わらないと、また昔の感性が亡霊のように蘇
って、わたしを甘い切ない厳しい世界へと手招き始める。
このままだと出社拒否症になってしまう。い、いかん。秋本を取り戻さなくては。
さあ、また読むぞお。
********************************
山田太一さんのTVドラマが始まっていたので、そちらを見ようかと思ったのですが
それは録画することにして、これを書いています。
結局この小説だけに丸一日かかってしまったことになります。
効率が悪いこと甚だしい限りです。
そして、これを書き始めた時と比べると随分落ち着いている自分を感じてホットして
いるところです。これなら大丈夫です。
もし、この本をまだ読んでおられなくて、そして読んでみようかなと思われた方がい
らっしゃったなら、深夜に及ぶ読書は避けられる方が懸命かと思われます。
なんせ、人が死ぬ話なんですから。そして一昔前の印象はぬぐえないものの、明らか
に上質の恋愛物語なわけです。もうおそらく流行らないであろう、センチメンタリズ
ムという粉チ−ズがふんだんにふりかけて有るわけです。
まあ、話の内容にはあまり触れないことにいたしましょう。
わたしがここで云いたかったのは、こういう本を久し振りで読んでみた、あのウンコ
のお話が大好きなイイ歳のおじちゃんが、こりゃ、いかんとあわてふためいている様
を、時間を追ってお知らせいたそうというところにあった訳なんですが。
なんか、それにしては訳のわからないものになってしまいました。
書く力がないんですよね。それに書きたくないという気持ちもあったことも事実です
し、あまりにも真面目になってしまうことに対して防衛の気持ちが働いたわけです。
  簡単にいきましょう。
読み終えて思ったのは(冷静になってから)
この手の小説が本当に今の若い十代から二十代前半の人達に読まれるのであろうか
という疑問が湧いてきたことです。その中でも特に女性です。
わたしが感じるのは今の若者でも、男の子は正直どうでもいい。
こりゃあ、もう絶望的といっていいくらいひ弱になってしまっている。
おそらくこの手の話に涙を流して喜ぶであろうことは手にとるようにわかる。
問題は女の子です。キャピキャピ・ギャルです。
わたしは実はこの子達のことで感じていることがあるんです。
勿論、詳しく知っているわけではありませんし、おそらく真実ではないかもしれませ
ん。しかし、どうしても、そう思わずにはいられないことがあって。
それは彼女らがあんなにも軽く物事を考え、行動しているのは実はあまりにも大きく
重い悩みというか不安をもう、それこそ生まれた時からすでに体の中に抱え込んで身
動きがとれなくなっているからじゃないかということなんです。
それは具体的に指摘できる事柄ではありません、あえていうなら社会環境とでもいい
ましょうか、つまりは漠然とした生きることに対する絶望みたいなものです。
うまくは云えませんが例をあげるならば、コップにビ−ルをつぎます。
普通ならコップ一杯のビ−ルがそこに入る訳ですが、この子らのコップにはすでに
底の方に重い鉛のようなものが沈めてあって、それでビ−ルがあまり入らないのです。
入れようとしても、すぐにあふれてしまう。だから彼女達はあまり多くのビ−ルを自
分のコップに注ごうとはしないし、入る訳もない。
軽くついで、一気に飲んで、それではしゃぎ回っているのです。
おそらくこの「ノルウエイの森」のような量のある液体はもう、生理的に入らない
ことを知っているのではないか。
そんなことを思っているわたしですが。どうなんでしょう。
歯歯歯!真面目になってしまった。
読んでる時はこの本を皆さんにぜひ薦めようと思っていましたがやめにします。
明日一日おやすみです。ほんとは昼から出勤だけど、行かないことにします。
で、あした一日は本を読むのはやめにしました。いささか疲れました。
という訳で、この休み期間なあ−んにも書けなかった秋本でした。
どうも、長いわりには中身のなかったこんな文を最後まで読んでくださって
感謝いたします。そして、フレッシュ・ボイスでは、昨年同様、あのいつもの
秋本大先生で登場させていただきたいと思っています。それじゃ、これで。




前のメッセージ 次のメッセージ 
「CFM「空中分解」」一覧 秋本の作品
修正・削除する コメントを書く 


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE