AWC 深夜連載小説「イルージョン」(8)クエスト


        
#647/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XKG     )  88/ 1/ 3  18: 4  ( 79)
深夜連載小説「イルージョン」(8)クエスト
★内容
 初めてのデート以来、サチはラミに夢中になってしまった。
ラミは仕事が忙しいのか、サチの誘いにはたまにしか応じてくれなかったが。

 サチが今日もラミの店に行こうと歩いていると、ルナが話かけてきた。
「サチ、今日は」
「やあ、ルナ。元気かい」
「サチ、この間会った時、今度は海に行こうねって言ったでしょ」
「ああ、そうだったね」
「今度の週末はどう?私なら構わないんだけど」
「うーん、また返事するよ。じゃあ」
そさくさと行ってしまったサチをルナは悲しい目で見送った。
「ほんま、あいつ何考えてるんや。最近、言葉使いまで変わりよって」
タムであった。
「ルナ、まあラミは本気やないよ。サチは遊ばれてるんや。」
「もうじきサチはまたルナのところへ戻ってくるよ」
タムはルナを慰めると浜辺へと去っていった。

 サチが戻ってきた。
「そうやね。今度久し振りに会おうか。ルナ」
どうやら、ラミには振られたらしい。
でも、ルナは嬉しかった。

 サチとルナは小舟に乗って沖へ漕ぎだした。
潮風が二人の肌に心地いい。
海は凪いで穏やかである。
ルナははしゃいでいたが、サチは無口であった。
「私のこと、鬱陶しく思っているのかしら」ルナは少し悲しかった。
ついこの間までの二人の幸せな日々がうそのようである。
ラミは雰囲気を活気づけようとして言った。
「ねえ、サチ、お魚を採ってきてよ」
「いやだよ。今日はのんびりしていたいんだ」
「そう、でもサチ、最近お魚を届けてくれないし...」
「ルナ、一回自分で採ってみたら。簡単には採れないんやで」
「そうや、ルナ、今日は俺がルナに魚の採り方教えたるわ」
サチはそう言うと、ルナを抱え上げて小舟から放り投げた。

バッシャーン、水飛沫が上がる。

「きやー、サチ、私余り泳げないのに」
ルナは必死になって小舟に戻ろうとした。
サチはルナがやっとのことでたどり着き、舟に這い上がりかけると、
またルナを突き放した。
そして舟をせこせこと漕いで少し遠ざかる。
「ああーん、サチ、意地悪しないでー」
「助けて。サチ」
そんなことが何度か繰り返された。
とうとうルナはぐったりとなり、海に沈みかけた。
サチは急いでルナを舟に引きずり上げた。
ルナは失神している。
サチも何故、こんなことをしたのかわからない。
ただ、そういうことをサチはできる立場にあった。

 サチはルナを舟に横たえると口移しで人工呼吸をした。
息もたえだえのルナ。
 胸が小さく上下する。
サチはルナの上に覆い被さっていた。
暖かいルナの体温。目に眩しいルナの肢体。
気がつくと、サチはルナの服を脱がせていた。
他の部分に比べ、やや白い肌があらわになる。
そして、可憐な乳首。そしてまた...
 サチは我を忘れ、ルナの体をまさぐり一つになっていった。
背徳的なだけ、痺れるような快感がサチを見舞う。
 ルナは途中で意識を取り戻した。
「あ、サチ、止めて。お願い」ルナは驚いてサチに哀願した。
しかし、好きな者の弱み、抵抗はそれほど強くできない。
大きく広げられた脚の中央部に痛みと快感が走る。
止めて止めてと言いながらルナは顔を歪め、
サチはその姿にますます興奮して腰を振りたて、高みに到達した。

 サチは虚脱感に襲われていた。胸にルナがもたれている。
二人は無口であった。漕ぐ者のいない小舟は波間にゆらゆらと漂っている。
ラミにデートを断られた腹いせに、手近な女の子を犯してしまった。
サチはそんな後悔にかられていた。
 ルナもなりゆきでこういうことになったものの、はたしてサチが自分を守ってくれる
存在になるのかどうか不安であった。
ただ、今はサチの厚い胸に何時までも抱かれていたかった。

                      つづく
..




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