#133/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DGJ ) 87/ 2/22 11: 2 ( 95)
『Get Sets』 〈3〉 Last Fighter
★内容
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「兄妹ねぇ」
やれやれ、どうやら敵打ちに同行させられそうだぜ。
「でー、犯人の目星はついてるのかい?」
「警察の調べでは、死体の状態からみて人間の力での犯行ではないわ。なにか
の機械によるものか、それとも殺人アンドロイド....」
「ねぇねぇ」
「なに?」
「おれ思うんだけどさ、こういうことは自分でやらないでー
ほら、なんといったかなー
WWWAとか、アンドロイドハンターとか、バイカーンとかにたのんだ方が
いいんじゃ....」
「...」ミラーンは目を細めながらステックと取り出した。
「あ、いや、じょうだん!冗談だってば〜!!」
おれは、あわてて両手を前にだして横に振った。
ミラーンはステックをしまった。
「もう少し真面目に聞いてよね?生き残りたかったら...」
「おそろしいセリフを平気で言うねぇ」
「目星はついてるわ。あるギャングの親玉よ」
おれの脳裏に?マークがかすめった。
「ギャングの親玉がなんで?」
「ある情報によると、新型の殺人マシーンの実験かなにかに関連してるらしい
の」
「やれやれ」おれは椅子にのけぞった。「五人の人間をモルモットがわりか」
「そうらしいわね」
あーぁ、相手は人殺しをなんともおもっちゃいねえやつらの、さらに親玉と
わね...
生きる望みは0.000…1%あるかなぁ?
「で、いつやるんだ?」
おれは姿勢を前にもどしながら聞いた。
「今日、これからすぐによ」
「...!」
おれはそのままテーブルに頭を突っこんだ。
.....と、まぁこんなわけなのである。
その後、喫茶店を出てから現在の『50 VS 2』に至るまでのことは、
諸君のご想像におまかせしたい。
と・に・か・く!
このままでは、八つ裂きされかねん状況だ。
「どうすんだよ?」
レイガンを撃ちながらおれは言った。
一応、敵の何人かにはあたっているようだが、焼け石に水である。
「このまま此処で、死んじまうのか?」
「うるさいわねぇ!」
ミラーンが怒なり返した。
「じゃあ、どうしろってんのよ!」
おれは負けじと、怒なり返した。
「ほかに強力な武器はねぇのか!? まさかこのレイガンと、そのレーザーガ
ンだけじゃねえだろうな?」
これだけということは、こやつの性格から十分ありうる−
「あるわよ、ほかにもいっぱい」
おもいっきしおれは前にずるっこけた。
「じゃあ、なんで使わねえんだ??」
おれが怒なると、ミラーンは半壊しているエア・カーの後ろトランクを左手
で指した。そして、溜め息まじりの声で、
「ぜんぶ、あん中に入ってんの!」
「・・・あっそっ・・」
状態は敵からのレーザー光線の、あめあられ。
トランクまでほんの3,4mくらいなのだが....
蟻でもないかぎりレーザーをかいくぐって、トランクにはたどりつけないだ
ろう。
−−−− 絶 望 −−−−
おれの頭にその二文字が浮かび上がった。
後ろの壁以外の視野は、すべてギャングで埋めつくされている。
「撃つしかねえか....」
半ばやけくそでレイガンを撃つ。
しかし、敵はまったくひるまない。
何発目かに引き金を引いたとき、おれの目の前に三文字が浮かび上がった。
−−−− 大 絶 望 −−−−
大きくUPされたその文字に、ひびが入ってふくれあがっておれの頭を支配
した。
おれは大きく息を吸って、座りこんだ。
とたんにミラーンが怒なる。
「なにやってんのよ!?」
おれは、黙ってレイガンをミラーンの目の前に突き出して....
そして一言
「エネルギー切れ!」
「あ〜ら、偶然ね」
ミラーンも自分のレーザーガンを突き出した。
「あたしもよ」
ミラーンがにっこり笑いながら言った。
−−−なんでこんなに明るく言えるんだろう?
どっかおかしいんじゃないのか?
いや、そうに決まってる。そうでもなきゃこんな無謀なことするはずがない
「さ、て、と」おれは(全壊寸前の)エア・カーによりかかった。
「敵に突っこんで死ぬのと、このままエア・カーと心中するのと、どっちが楽
かなぁ?」
−−−つまらん人生だった......
と、そのとき
小さな爆発が起こった。
爆発の方向を向けば、なんてことないエア・カーの後部が炎上している。お
そらくそこに組み込まれていた、機器に相手のレーザーがあたったのだろう。
が−−−、その小爆発でおもいがけぬことが起こった。そのショックがトラン
クの中の武器を、おれたちの前に弾き飛ばしてくれたのだ。
〈つづく〉