AWC SF宇宙船アルゴ号よ! 永遠に(1)


        
#95/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (YHB     )  87/ 1/11  17:25  ( 93)
SF宇宙船アルゴ号よ! 永遠に(1)
★内容
SF宇宙船アルゴ号よ! 永遠に  パパ・ブル−ス

              プロローグ ----  絶望 [20XX年 XX月 XX日]

                                  (1)

  1986/11/15、あやふやに終結を迎えてしまった、第一次B4ボード核戦争。
いったい原因は何であったのか。いや今になって、原因を追究したところで仕
方のない事である。あの戦争で使用された核ミサイルの為、地上は極度の放射
能汚染にみまわれ、 生物の殆どが死滅してしまった。わずかに生き残った人々
は、その生活圏を地底に移した。

  我がSHU−NET共和連邦も、その活動本部を地下3000mの地底に移
し、かろうじて国家機能を維持していた。

 "ニコ国務官主任より、現認報告です。"

--- 相変わらず、無愛想な音声だなぁ ---  端末の無機的な発声に、うんざり
    しながら、シュウ司令はモニターを見詰めた。

  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  現認報告  [No.091319]                                 20XX.XX.XX

                                        国務主任  ニコ・チヤーン

    現在、我が連邦における・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・は、下記のとうりであります。

      生存者人口: 2,183人    ------ このうち健康な者:  217人
                                           原子病患者:1,966人
      生命維持装置の耐久限度年数: 残 13.7年
      食糧自給の限度年数:         残  4.2年

      ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・
      ・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・・・  ・・・

  地上に於ける放射能が安全値になるまで、あと28年は地底で・・・・
  ・・・・・・・・

彼は、いらだたしく言った。

「ニコを呼び出してくれ!」

 "報告を続けなくでも、よろしいですか?"

「かまわん、早くしろ!」

 "わかりました。ニコ国務主任をコールします!"

「はい! ニコです。お呼びですか?」

「念のため聞く! 君の報告に間違いはないね?」

「ええ! ........残念ですが。」ニコ国務主任は生気のない声で答えた。

「そうか ......間違いないか。」

そう言うと、彼はゆっくりとモニターを消した。確認するまでもなく、それは
容易に理解できる事であった。しかし、あの日以来、毎日のように原子病に倒
れ、次々と死んでゆく人々を見てきた彼にとって、報告書の内容は、確認せず
にはいられないものであった。

--- 私は、地上に戻る為に、あの緑に満ちた美しい地上に戻り、もういちど太
    陽の光を全身に浴びたい為に、地底生活に耐えてきた。私だけではない、
    連邦の人々すべてが耐えてきた。しかし、それは見てはいけない夢だった
    と言うのか。我々には、絶望の中で死んでゆくことしか残されていないと
    言うのか............

「ノイマン... ノイマン答えよ!」 彼はメインコンピュータをコールした。

「我々が生存できる確率は?」

>確率は 0%
>補足します。生命体死滅まで、4年2カ月8日9時間です。

「4年2カ月ではないのか?」

>人間は絶食状態でも数日生きられます。

「そうか....... そうだったな。」彼は苦笑いした。

その時、資源開発長官ボーブが真剣な面持ちでコールた。

「司令! コード139です。 急いでエリア09の採掘現場に来てくだささ
   い!」

--- コード139!  第1級非常事態!  いったい、何が.......?

「よし! わかった。すぐに行く!」

そう伝えると、彼は司令室を飛び出た。




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