AWC 『RUN ☆ ONLY!』 (後編) Last Fighte


        
#77/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DGJ     )  86/12/ 5  16:15  (143)
『RUN ☆ ONLY!』 (後編) Last Fighte
★内容
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そして、更に勝ち誇った口調で叫んだ。
「いいか、俺をこれ以上殺すまねをすると俺はこいつで咽を突きさして死ぬぞ!」
「なっ!?」
「そうすれば、君は減給だ。ローン地獄が待ってるぞ〜それでもいいのか〜?」
少女はあっけに取られた表情をした。
「き、汚いわよ!自分で自分を自分のために自分で人質にするなんて!」
「うるさ〜い!こっちだって命懸けなんだぞ!」
「勝手に懸けてるだけじゃないの!」
2,3秒二人は見詰めあった。(キック・オフではない)
「こ、こうなったら‥‥」
「どうするんじゃ?」篠原は、もう勝ったと思い舌を出してからかった。
「無理矢理、走らせてあげるわよ!」
少女は先程のPC−98LTに良く似た機械を取り出して再び操作した。
篠原は、さして気にはしなかった。が.....
ガタン!
なにか、どでかい音がしたかと思うとそのとたん篠原はぶっ倒れた。
「な、なんだ〜!?」
すると、今立っている所は平のはずだったのに坂道になっているのだ。
しかも物凄い傾斜の!さらい傾斜はぐんぐん上がっている。
「ひ、ひえ〜〜〜!!」
篠原は当然ころげ落ちていった。
「こ、こら!どういうこった??」
「仕方ないでしょ」少女が答えた。
「心臓マヒが無理ならばせめて走っている状態で死んでもらわなきゃ。」
「あのな〜!」
篠原は、ころころ転がっていく。手にはもう彫刻刀も鞄もない。
「これは走るというより げほっ! 転がると言った方が ぐへっ!」
転がりながら喋っているので、うまく話せない。
「いいのよ!なんとかごまかせるから。」
「あ、あほな...へげっ!」
ころころころ、篠原は転がり続けた。しかしいくら転がっても篠原は死なない。
「もう!じれったいなあ!」
ガチャン!!
少女は更に機械を操作して坂の傾斜を上げた。
「げほっ!ぐへっ!ひえっ!がはっ!ふみっ!」
篠原の喚き声が更にひどくなる。傾斜の角度は、もう70度近いだろう。
ほとんど壁だ。しかし、篠原はまだ死なない。
『うる星やつら』の諸星あたる並の生命力である。
なぜ、ここで『うる星やつら』が出て来るかと言うと。
別に作者がファンであるとか、めぞん・うる星のファンクラブであるK・A・C
に入っているとか、単行本も沢山持っているとか。めぞん一刻は、全部ビデオに
とってあるとか、そういう事実とはまったく関係ないのである。
「もう、いいかげんにしてよ!よ〜しこうなったら最高にしてやるわよ!」
少女は、そういって機械に坂の角度を最高にするように操作した。
読者のみなさんもうすうす感じてるであろうが、もうこの少女の頭の中には篠原を
殺すことしか入ってなかったのだ。仕事のことなどもうどっかへ飛んでいって今ご
ろ、アンドロメダ星雲あたりにいるだろう。
プス‥‥プスス‥‥‥。
「ふにっ?」少女は、驚いた。機械が変な音を立てたのである。
プスススス‥‥‥‥プスプススプスス…………
「ひえっ!!?」機械は、さらに音をたてて煙まで出してきた。おそらくは、少女
の無茶過ぎる操作で壊れたのだろう。
トッカーーーーン!
「きゃい!☆」機械が爆発した。少女は小さな悲鳴をあげた。
爆発といってもだいそれたものではない。せいぜい少女の服が70%くらい破れて
体じゅう真黒焦になった程度である。
「けほっ、けほっ☆」少女はむせてせきをした。
「あ☆、いけない!」少女は篠原のことを思い出して、地上を見た。
すると、なんということだ!機械の爆発によって地上は坂どころか真っ逆さまになっ
ているではないか!
「ひえっ!ひえひえ〜〜〜〜〜!!!」
篠原は、地上から上に向かって落ちいてく途中だった。
こいつ無茶苦茶書いてやがる。そう、読者は思っているだろう‥‥が、
あはははは、無視する!ここまで読んでくれている人は、最初の半分いるだろうか?
残った読者よ最後まで読んでくれ!
「いけない!」少女はアルバイトのことを思いだした。心臓マヒで殺さないと、減給
なのだ。
少女はもんの凄いスピードで字のごとく飛んでいった。
ぐいっ!
「ふー!」少女は半ば死にかけて気絶している篠原の服をつかんで溜め息をもらした。
これからどうするか‥‥だ。
「機械は壊れちゃったし、この人にどうやって走らせようかな...」
と、独りごとを言っていると。
がしん!
突然世界が基に戻ったのだ。機械が壊れてから時間が経ったからだろう。
「ふ、ふみ〜〜〜!」
少女は、突然の出来事に驚きおもわず篠原から手を離してしまった。
篠原はどんどん地上に落下していく。少女は、めいいっぱい飛んで追いつこうと
した。篠原は、運が良いのか悪いのか落ちてく途中で目がさめた。
「ぎょえ!!」当然篠原は、驚く目が覚めたら空中で遊泳(?)しているとは..
その時篠原の目の前に、紐のような物が垂れてきた。無我夢中で篠原はそれにつか
かかる。すると、
「きゃい!! ☆★$%▼ζ※◎★〒》?#¥〜〜!!!!」
と、悲鳴が聞こえた。後の方の言葉は、意味不明である。
声はあきらかにあの少女の声だった。だが、篠原にはただひたすら紐につかまる事
しか頭になかった。
徐々に高度が下がっていった。
「々ゞ>$★〆?”$&!〜〜!!」
少女の悲鳴が更に大きくなったが、意味はさっぱり判らない。
篠原は、あまり腕力の強い男ではない。がたがた、手がふるえてきた。
自分の体重にたえきれなくなってきたのだ。
するっ!
ついに手が紐から離れた。
「ひえっ!」
篠原は絶叫しながら落ちていく。しかし、運がよく2m位で地上についた。
もちろん、足からではない腹からである。
「ぐえっ!!」
そのさらに上へ少女が落っこってきた。
「げへっ!!」
篠原は、2回目の声をあげた。体のあっちこっちがずきずきする。擦り傷だらけだ。
しかも、腹と背中の両方にたった今ショックがあたえられたのだ。
気絶しそうになったが、なんとか持ちこたえた。
「ん、ん〜〜〜。」少女がうなって起きあがった。
「あっ☆! し、尻尾!」少女は、思いだしたかのように口ばしって自分の後部に
手をやった。
「し、しっぽ〜??」篠原は驚いた。ふむ、確かにその少女には猫の物に似ている
尻尾が付いていた。まっ、人間でないのだから不思議がることはないだろう。
「すると、さっき俺がつかまっていたのは尻尾だったのか‥‥‥。」
篠原は確信した。それで少女は痛くて悲鳴でもあげたのだろう。
「つかまったって‥‥‥‥」
少女が篠原を見た。
「それじゃぁ、わたしの尻尾を引っぱったのね!?」
口調が変っている。今迄とうってかわって、おびえたような口調だ。
「そ、そりゃぁ当然。」
「は‥‥‥はは‥‥‥‥‥‥。」
少女は軽く笑った。苦笑とも思える笑いだ。かすかに体が震えてる。
篠原は少女が狂ったのか?と、思った。
「ひっ.ぱっ.た.の.ね...」少女は顔を篠原に近ずけた。5cm位まで。
「ハニー...」少女がとても優しい声でささやいた。
「へっ!??」
篠原は間の抜けた声を出した。
「わたしの世界ではね。初めて尻尾を強く引っぱった人と結婚する習慣(ならわし)
 があるの...」
「はいっ??ん、んなばかな!?」
「本当よ、ハニー‥‥‥」
真顔で、少女は答るえる。
じょ、冗談じゃない。自分を殺そうとした人間と結婚できるか!?
(それ以前の問題だと思うが……)
篠原はガバッと、起きあがり逃げだした。
「あんっ!ま、まってよ〜ハニーってば〜!!」
「じょ、冗談じゃね〜〜〜!!!」
速い速い、体じゅうの痛みなんぞなんのその篠原はどんどん逃げていく。
「ま、まってってば〜〜〜☆!!」
少女もまけじと追い駆ける。
「おのれと、結婚する気はこれっぽっちもな〜〜〜〜い!」
「あ〜ん、自分のお嫁さんおいて何処いくのよ〜〜!?」
「する気は無いっ!ちゅうに!!!」
二人は、モノトーンの世界の中を駆け抜けていった。
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