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★タイトル (AZA ) 10/04/05 21:08 ( 23)
本の感想>『閉じた本』 永山
★内容 10/04/12 20:24 修正 第2版
・『閉じた本』(ギルバート・アデア/青木純子訳 創元推理文庫)
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著名作家のポールは、海外での交通事故で両眼を失った。それをきっかけに
隠遁生活状態に入っていた彼は、自伝を執筆するために口述筆記その他をこな
せる人物を募集し、ジョン・ライダーなる若者を雇い入れる。
執筆はまずまずの滑り出しをみせ、ジョンも筆記だけにとどまらず、取材や
手伝いなども無難にこなしてくれた。だが、ある日ひょんなことから、ポール
はライダーの“誠実さ”に疑いを持つ。それは徐々に大きくなっていき……。
会話体と独白のみで構成されたサスペンスミステリ。
本格として評価の高い『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』と同じ作者の
手による作品だから、もっと本格本格したミステリを期待していたのですが、
そういう意味では期待外れに終わったかな。サスペンスというかスリラー的な
色合いが濃く、ミステリの仕掛けはあまり感じられず。
その代わりと言っていいのかどうか、リーダビリティは高かった。会話が大
半を占める構成も大きな理由でしょうが、とにかくすらすら読めました。この
先どうなる?という興味とも少し違う、でも続きが気になる。そんな感じ。
終盤の展開は凡庸と言えば凡庸で、もう一回ぐらいひっくり返してくるのか
と身構えていたおかげで、肩透かしを食らった気分になりました。あとに続い
た締め括りはなかなか。ただ、なるほど!と膝を打つ快感がもっとほしかった
です。
ではでは。