AWC 本の感想>『謎解きはディナーのあとで』   永山



#6560/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  11/03/16  22:14  ( 30)
本の感想>『謎解きはディナーのあとで』   永山
★内容
・『謎解きはディナーのあとで』(東川篤哉 小学館)16/5461
 刑事の宝生麗子は同僚には秘密にしているが、財閥のお嬢様。警察署や現場
の近くまでは、執事兼運転手の影山に高級車で送られ、そして迎えに来させる
身分にある。
 この影山も一筋縄で行かない男。お嬢様たる麗子が苦戦する殺人事件につい
て、そのあらましを聞くや、おもむろに言う。たとえば――「失礼ですが、お
嬢様の目は節穴でございますか」と。その言葉の裏にある自信は確かで、見事
な推理を組み立て、真相を導き出す。
 何故被害者は靴を履いたまま自室で死んでいたのか、何故犯人は死体をわざ
わざ薔薇の茂みに置いたのか、何故死体は服を脱がされていたのか等々……お
嬢様と執事のコンビが、次から次に出くわす変な事件を、快刀乱麻を断つかの
如く解決していく推理短編集。

 軽妙な作風ながら、本格推理のロジックが堪能できる佳作、いや傑作と呼べ
る作品集。
 一話完結の連載物をまとめた物なので、レギュラーキャラクターの説明がい
ささかくどくなっているきらいはある(短編集にまとめる際にできれば削って
欲しかった)ものの、その造詣自体はユニーク。ホームズとワトソンのコンビ
で、ワトソンがホームズをやり込めるパターンとも言えるし、ワトソンに見え
た人物がホームズだったという風にも言えましょう。
 ロジックについては、難易度の差こそあれ、いずれも捻りを入れており、工
夫が感じられて嬉しい。さらに、カバーイラストや文体の軽さが、カムフラー
ジュの役目を果たしている、かもしれません。
 蛇足ながら、某書籍販売サイトでのレビュー群のほとんどがあまりにひどい。
世の中に、ミステリにおける「本格」や「謎解き」、ついでに「トリック」ま
でも誤解している人がどれほどいるかを暗に示しているかのよう。あるいは、
話題になっているからという理由で本を手に取り、本質を誤解したまま読むと、
こうなるのも仕方ないのかしらん……。

 ではでは。




#6607/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ    *** コメント #6560 ***
★タイトル (AZA     )  11/04/13  18:03  ( 23)
白い目で   永山
★内容
 新日本プロレス中継を観ていると、アナウンサーが絶叫してた。
「永田の白目が飛び出した〜!」
 ……おいおい。
 永田という選手は、相手の腕を極めると白目を剥くのが一連の動作となって
おり、観客から「白目」コールが起こるほど定着しています(私は支持しない
けど。白目を剥いていたら相手の動きが見えない)。ですから、そのお決まり
の「白目」ポーズが飛び出したとの意味合いでアナウンサーが言ったのは分か
るんですが、この表現はやっぱりおかしい。
 あと、検索してたまたま知ったんですが、結膜浮腫といって白目が飛び出し
たようになる病気があるらしい。となると、アナウンサーの表現はますますま
ずい気が。

 2011年本屋大賞に『謎解きはディナーのあとで』(東川篤哉 小学館)。
 お、この手の一般的な賞を取るような小説を、事前に読んでいたのは初めて
かもしれない。自分の面白く感じた本があとから一般でも認められるのって、
何だか嬉しい。
 ただ、本書の場合、すでに出ている批判的感想の多さを考えると、余計な勲
章をもらっちゃった感がなきにしもあらず? 本書は恐らく、読む人を選ぶ作
品なんだと思う。本屋大賞という看板が付くことで、針がどっちに振れるか。
テレビ関係者の目に留まってドラマ化やアニメ化され、マニア的人気に火が付
く可能性も。

 ではでは。




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