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★タイトル (XVB ) 99/ 7/30 23:22 (171)
吉外信報63 大舞 仁
★内容
今回はあるいろいろな歌です。なお括弧がきのひらがなは本のとおりに書いて
あるのをそのまま打ちこんでます。
「君が代」
君が代は
千代に八千代に
さざれ石の
巌となりて
苔のむすまで
最近話題になっている「君が代」ですが、よくわからない歌詞ですが、これ
はこれは明治十三年 原歌古今集からとって作っています。なんでも明治十三
年十一月三日天長節(明治天皇誕生日)の宮中宴会で初演させられたそうです。
わたしの意見としては良いとか悪いとか言っていますが、どっちでもよいで
す。どうせなら戦争に負けたときに天皇も処刑していてもよいと思いますが、
それでは国民が怒り統治するのに困るので、鬼畜米国はやめたのだと思います。
「蛍の光」
ほたるの光 まどの雪
書(ふみ)よむつき日 かさねつつ
いつしか年も すぎのとを
あけてぞ けさは わかれゆく
とまるもゆくも かぎりとて
かたみにおもう ちよろずの
こころのはしを ひとことに
ささくとばかり うとうなり
つくしのみわみ みちのおく
うみやま とおく へだつとも
そのまごころは へたてなく
ひとつにつくせ くにのため
千島のおくも おきなわも
やしまのうちの まもりなり
いたらんくにに いさましく
つとめよ わがせ つつがなく
明治十四年にできた作品で、詞不明 スコットランド民謡です。これで面白
いのは、勤勉に勉強する歌ではなく、三番、「ひとつにつくせ くにのため」
お国のための歌だったのです。そして四番は「千島のおくも おきなわも」
まだそれらの地域が日本ではないと思っている人がいたためでしょうか。差別
しないようにしましょうというのは実際に差別している人がいるから標語がで
きるのであって、人間を食わないようにしましょうという標語がないのは人間
を食べる人がいないから、常識として言わないのです。そして千島も沖縄も明
治政府が維新以来獲得した土地であるのでわざわざ言葉にして言っているので
す。
「仰げば尊し」
あおあげば とうとし わが師の恩
教(おしえ)の庭にも はや いくとせ
おもえば いと疾(と)し このとし月
今こそ わかれめ いざさらば
互いにむつみし 日ごろの恩
わかるる後にも やよ わするな
身をたて 名をあげ やよ はげめよ
いまこそ わかれめ いざさらば
朝ゆう なれにし まなびの窓
ほたるのともしび つむ白雪
わすする まぞなき ゆくとし月
今こそ わかれめ いざさらば
明治十七年作 ここで面白いのは二番の歌詞が、今では歌われなくなったこ
とです。これはおそらく二番三行目「身をたて 名をあげ やよ はげめよ」
が問題になると思います。今では出世して名前をあげて励みなさいとでも意味
するのでしょうが、この時期の歌詞からさっするに、軍人として名前をあげて
国のために励めよという意味でしょうか。詞、曲がどちらも不明のためと、た
とえ詞を考えた人がわかっていてももう死んでいるでしょうから聞けません。
「オッペケペー節」
権利幸福きらいな人に 自由湯をば飲ましたい
オッペケペッポーペッポッポー
かたい上下がどとれて マンテンズボンに人力車 いきな束髪ボンネット
貴女に紳士の扮装(いでたち)で うわべの飾りはよけれども 政治の思想が
欠乏だ 天地の真理がわからない 心に自由の種をまけ
オッペケペッポーペッポッポー
亭主の職業は知らないが おつむは当世の束髪で 言葉は開化の漢語にて
晦日の断り洋犬(かめ)抱いて 不似合いだ およしなさい 何も知らずに知
った顔 むやみに西洋鼻にかけ 日本酒なんぞは飲まれない ビールにブラン
デーベルモット 腹にも慣れない洋食を やたらに食うのもまけおしみ 内緒
でそーッと反吐ついて 真面目な顔してコーヒ飲む おかしいねえ オッペケ
ペー
オッペケペッポーペッポッポー
米価騰貴の今日に 細民困窮省みず 目深にかぶった高帽子 金の腕輪に金
時計 権門貴顕に膝を曲げ 芸者たいこに金を蒔き 内には米を倉につみ 同
朋兄弟見殺しに いくらじひなき欲心も 余り非道な 薄情な 但し冥土のお
みやげが じごくで閻魔に面会し わいろ使うて極楽へ 行けるかえ ゆけな
いよ オッペケペー
オッペケペッポーペッポッポー
お妾権妻嬢さんに 芝居見せるは不開化だ 勧善懲悪わからない 色気の所
に目をむいて だいじの夫をそでにして 浮気すること必定だ お為にならな
いおよしなさい 国会ひらけたあかつきに 役者にのろけちゃいられない 日
本大事に守りなさい 眉毛のないのがおすきなら かッたいお色にもちなんせ
目玉むくのがおすきなら たぬきとそいねをするがよい オッペケペー
オッペケペッポーペッポッポー
洋語なろうて開化ぶり パン食うばかりが改良じゃない 皇国の権利を拡張
し 国威を張るのが急務だよ 知識と知識の競(くら)べ合い キョロキョロ
いたしちゃ居られない 究理と発明の先がけで 異国に劣らず やっつけろ
神国めいぎだ 日本ポー
明治二十ニ年作 わたしは一度も聞いたことはないのですが、演出川上音次
郎ということと文句の面白さからこの歌を選びました。このころはこういう歌
もはやっていたのですね。
「軍艦」
守るも攻むるも黒鉄(くろがね)の 浮べる城ぞ頼みなす
浮べるその城日本(ひのもと)の 皇国(みくに)の四方(よも)を守るべし
真鉄(まがね)のその艦(ふね)日本に 仇なす国を攻めよかし
石炭(いわき)の烟(けむり)は大洋(わだつみ)の 龍(たつ)かと靡
(なび)くなり
弾丸(たま)うつ響きは雷(いかずち)の 声かとばかりとよむなり
万里の波擣は乗り越えて 皇国の光輝かせ
明治三十年作 明治三十三年「軍艦行進曲(マーチ)と改作
パチンコ屋で銀玉をじゃらじゃらいわせて、曲は知っている人はいても、そ
の歌詞を知っている人はほとんどと言ってもいいぐらいいないでしょう。わた
しも今回調べて初めて歌詞を知りました。
「村の鍛冶屋」
暫時(しばし)もやまずに 槌(つち)うつ響き
飛び散る火の花 はしる湯玉
鞴(ふいご)の風さえ 息をもつかず
仕事に精出す 村の鍛冶屋
あるじは名高き いっこく老爺(おやじ)
早起き早寝の 病知らず
鉄より堅しと ほこれる腕(うで)に
勝(まさ)りて堅きは 彼がこころ
刀はうたねど 大鎌小鎌(おおがまこがな)
馬鍬(まぐわ)に作鍬(さくぐわ) 鋤(すき)よ鉈(なた)よ
平和のうち物 休まずうちて
日毎に戦う 懶楕(らんだ)の敵と
かせぐにおいつく 貧乏なくて
名物鍛冶屋は 日々(ひび)に繁盛(はんじょう)
あたりに類なき 仕事のほまれ
槌うつ響きに まして高し
昭和十七年の『初等科音楽(ニ)』では「暫時もやまずに」を「しばしも休ま
ず」(暫時が初等科音楽にはあまりに難しいかったのでしょう)、「あるじは名高
きいっこく老爺」をあるじは名高いいっこく者よ」、「鉄より堅しとほこれる腕
に」が「鉄より堅いとじまんの腕で」、「勝りて堅きは彼がこころ」を「打ちだす
刃物に心こもる」とあらためられ、「老爺」という言葉がなくなっている。
この歌は大正元年に生まれた歌で、わたしが小さいころ小学校一、ニ年生だっ
たか、音楽の時間にならったものです。それが鍛冶屋という商売がなくなったた
めが、ニ、三年後には教科書には載らなくなったとの新聞で書いてありました。
幼い心にもこの歌には流行らなくなった歌への未練と愛着があり忘れられないも
のです。この歌を知っている人はそれなりの年をとっているのでしょうね。
大舞 仁