AWC 「ティアフルガール(迷子少女)」 End 大二郎


        
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★タイトル (AWJ     )  96/10/ 8  15:30  ( 81)
「ティアフルガール(迷子少女)」 End 大二郎
★内容


「おはよーございまーす、なんですねっ」
「おう、気分はどうだい? 二人とも」
 朝、開口一番げんきにあいさつするシュンリー・・・・と、なぜか暗い表情のカイに向
かって言うフライドさん。
「じょーだんじゃありませんよ、もう・・・・」
「どうしたい?」
「おにいさん、シュンリーといっしょにいってくれる、いってくれたんですねっ!」
「ほー、そりゃまたどうして」
「だって、シュンリーが、もう独りはイヤだって泣いて暴れるから・・・・まぁ、しかた
なく・・・・」
 と、赤くなりながら頬をポリポリかくカイくん。
「はっはっは、こりゃおめでとさん」
 フライドさん、からかうように笑った。
「それより、いよいよですね、出張サービス」
「ああ、まずは契約集めからだ。やつらの妨害ももうないだろうし、ガンガンはりき
ってやるぞ!」
 と、フライドさんが力こぶを腕につくってみせたその時、
 バタン
 と扉が開いて、二人の男が入ってきた。
 あの、弟分の二人で、ある。
「ちわー、バルド住建でーす! ご注文のテーブルと椅子、おもちしましたー!」
 と愛想よく頭を下げる二人。
 ・・・・あれから、一週間が経っている。
 シュンリーがフライドさんの料理をいたく気に入って、ついつい長居になってしま
ったらしい。
 その間に、バルド一家の脅威は根底から地におちた。
 そして、いまやカタギの、材木建設業者へとくらがえしてしまったという訳であっ
た。
「おー、ご苦労さん。中に入れてくれ」
「へい、おーい、大男!」
「うむ、まかせろ」
 と、いつまでたっても名前の出てこない、あの解説ずきな大男くんが、テーブルと
椅子のセットをひとつ持って、入ってきた。
「どこに置くんだ?」
 と、まだ壊れたテーブルやら椅子やらが残っている店内を見回してきく大男くん。
「そこに、ひとつぶんのスペースを作ってあるだろ。そこに置いてくれ」
「わかった。しかし、このガラクタ・・・・このままにしておくつもりか?」
「ああ、シャレた飾りつけだろ? うちの名物になるよ」
 あっけらかんと言う、フライドさん。
 ・・・・単にめんどくさいだけじゃないのか? おい。
「・・・・じゃあ、すまないが料金はしばらく待ってくれないか」
 一客用のテーブルと椅子を置いてもらうと、フライドさん、言った。
「もちろん、いつでもいいっすよ。うちにもひとつ、作りにきて下せえ」
「おう、おまかせでよけりゃ、今日にでもいってやる」
 などと言葉をかわしながら、バルド住建の者達と別れる。
「・・・・どうやら大丈夫そうですね。じゃ、ぼくらはこれで」
 と、カイがきりだすと、
「ああ、気をつけてな。絶対にこの子の家、見つけてやるんだぞ」
「はい・・・・まぁ、一緒に旅していれば、そのうち見つかるでしょう」
「いいかげんなやつだな。一生かかっちまうかも知れないぞ」
 フライドさんが、またからかうように言うと、
「いいですよ、それでも」
 カイはあっさり言った。
「おにいさーん、まだなんですかー!」
 外から、シュンリーの声がした。


「で、どっちから来たの?」
 店の表で、とりあえずきいてみるカイに、シュンリーはにぱっ、と笑ってこう言っ
た。
「忘れちゃったんですねっ!」
 カイくん、やれやれと息をついたけど、
「ま、いいや。とりあえずぼくの次の目的地にいってみようか」
「はいですねっ」
 二人は、歩きだした。
「けれど、おぢさん、さみしくなっちゃうんですね・・・・」
「うん・・・・」
 それを思うと、なんだかしんみりとしてしまう、二人。
「あっ、お客さんなんですね」
 言われてカイくん、え、と思いながら振り返ると、フライドさんの店に、一人の妙
齢の女性が入っていくのが見えた。
「おぢさん、さみしくないんですね!」
 いきなりうきうきしながらシュンリーが言うと、カイは苦笑しながら言った。
「まったくだね・・・・」


                「ティアフルガール(迷子少女)」 〜おしまい〜






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