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★タイトル (GSC ) 96/ 8/18 9:41 ( 78)
わたしのナツメロ物語(5) 竹木貝石
★内容
第28回 思い出のメロディー
NHK総合テレビで、夜7時半から9時半まで、今年は『昭和40年代の歌』と題
して放映した。
以下はその感想であるが、例によって私の独断で、好き嫌いをはっきり書かせても
らう。
まず、全般を通じて感じたことを箇条書きにしておきたい。
1. 番組の構成が良い。
2. ヒット曲はさすがに名曲が多い。
3. 概して、男性歌手は40歳代が最盛期であるのに対し、女性歌手はこの年齢
になると残念ながら声の衰えを防ぐことはできない。
4. けれども、中にはそうでない人もいるし、声の衰えを歌唱力でなんとか補っ
ている場合もある。
5. 男性歌手も50歳代に入ると次第に声が伸びなくなってくるから、やはり普
段の精進が大切なのではないだろうか。
30曲近い歌について、いちいち述べることはできないから、印象に残ったことだ
けを簡単に書く。
森進一『港町ブルース』=若い頃よりも声がきれいになった。
五木ひろし『夜空』=今日は声がよくのびて明るい感じだった。
布施明『霧の摩周湖』=これはデビュー曲だと思うが、最初の頃は力み過ぎで聞き
苦しかったものだ。私は「レコードよりも実演に強い歌手だ」といつも感じさせられ
る。
(レコードもさることながら、実演の方がレコードよりもさらにうまく歌うという
歌手がいて、布施明・杉山清貴・民謡歌手の原田直之ら、その数はきわめて少ない。
レコードと実演と同じくらいに歌える歌手も何人かはいるが、こちらも数はあまり多
くない。)
南こうせつ『神田川』=「日本の若者の心を退廃的な方向に導いた歌」という評価
もあるやに聞いたことがあるが、たまたま世の中の趨勢にピッタリ合ってしまったの
だろう。確かに暗く寂しく美しい曲だ。ヴァイオリンの伴奏がまことに効果的で、も
しもこれが無かったら大ヒットしなかったかも知れない。
青山和子『愛と死を見つめて』=レコード大勝を取った歌だと記憶しているが、当
時よりも今夜の方がうまく歌っていた。
加山雄三『君といつまでも』=若い頃はさほどでなかったが、60歳近くなった今
日の歌は、それなりに決まっていた。
ワイルドワンズ『思い出の渚』=エレキギターを私はあまり好まない筈なのに、懐
かしく感じた。
マイク真木『バラが咲いた』=声や歌い方が気に入らないと、私は歌そのものも嫌
いになってしまう。
ジェリー藤尾『遠くへ行きたい』=上に同じ。
松山恵子『お別れ公衆電話』=昔私はファンだったが、今はちょっと…。衣装には
250メートルの長さの布を使っているそうだ。
田端義男『ふるさとの灯台』=70歳を過ぎると若干苦しい。
さて、私が一番書きたいことは、ここからである。
司会者が、
「引退された方、亡くなられた方々も大勢いらっしゃいまして、今はもうご本人の歌
声を聞くことができません。この時間には、それらの名曲を少しずつ歌い継いでいき
たいと思います。」
と言って、次の4曲を紹介し、演奏した。
1 石嶺サト子(文字不明)『山口百恵のコスモス』
2 石川さゆり『西田佐知子のアカシアの雨がやむ時』
3 五木ひろし『三橋美智也の古城』
4 森進一『水原弘の君こそ我が命』
2曲目は期待以上の出来映えだったので、これなら西田佐知子のファンも納得する
だろう。
そして、今夜の最高の歌は、断然1曲目である。
石嶺という歌手を私は全然知らなかったが、発声・声量・音程・リズム・表現方に
おいて完璧で、無論原曲よりはるかに素晴らしかった!
再放映の時には、是非録音を取りたいものだ。
番組の最後は、全員合唱で『翼を下さい』=これもなかなか良かった。
この大空に翼を広げ飛んで行きたい〈よ〉
悲しみのない自由な空へ翼はためか〈せ〉
〈よ〉および〈せ〉の部分のハーモニー(和音)が、当時の曲としてはユニークな
感じであった。
[1996年8月17日 竹木貝石]