AWC 完狂堂日記(7月26日)


        
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★タイトル (MEH     )  96/ 7/26  21:58  ( 91)
完狂堂日記(7月26日)
★内容
7月26日(金)

●通俗ヨタ話なりゆきまかせ小説・タイトル未定
 相変わらずわびしく営業中のヴァーチャル・バー、「しねまにあ」に密かに潜入(
ダイブ)している、ハッカー美人娘三人組であった。彼女らのハッキング・テクニッ
クは超一流。

伊集院知美「ここが仮想飲み屋「しねまにあ」でございますか」
伊集院涼子「そう、くだらん映画の話ばかりしている場所」
伊集院波江「ちょべりボロっちい場所だね。あっ、姉さま、あの男だよ」

 浪江は談笑中の下北沢ヨタ夫を指さした。バーに毎日のように出入りしているアホ
キャラクター、ヨタ夫には、父がなかった。ヨタ夫と母は幼くして父親に捨てられた
。つい最近、彼の実の父がこの世を去り、ヨタ夫の身辺がにわかに慌ただしくなる。
「遠い親戚」と名乗る者が多数現れ、事情を説明する。彼らが言うことには、ヨタ夫
の父は、莫大な遺産を残してこの世を去ったというのだ。誰もが一目おく多国籍企業
の筆頭株主、それがヨタ夫の父であった。彼の死亡と同時に遺言状がしかる筋から発
表され、現在いる家族はみな度肝を抜いた。遺産はすべて、ヨタ夫のものとする旨書
かれていた、というのだ。逆上した家族はヨタ夫暗殺を企むが、ことごとく失敗。ヨ
タ夫は馬鹿なようでいて、実はものすごくキレるやつだったので、数々の難局を乗り
切り、今日もまたバー「しねまにあ」で雑談に興じているのであった。

浪江「あそこに座ってバカ話しているのがヨタ夫だよ、姉さま」
知美「ふうむ、あんなヤツに!妾の子に財産を奪われるとは、まったくもって伊集院
家の恥でございます!許せません。ヨタ夫が死ねば、あのたわけた遺言状は無効でご
ざいます、むふふふ」
涼子「いや、殺さなくても、ヨタ夫の持っているペンダントを私たちが奪えば、財産
は私たちのものとなるわけでしょ?殺すことないんじゃない?」
浪江「まあ、確かにそうなんだけど。殺すほうが、ちょーてっとり早いかもよ!?」

 ヨタ夫が死亡した場合、財産は三人娘のものとなると遺言状には書いてあった。財
産は銀行に凍結されているのだが、その金庫を開くための「実印」の役目を果たすの
が、ヨタ夫の持つペンダントなのである。

浪江「でもあのヨタ、ペンダントを肌身話さず持っているらしいよ。父の形見だと思
ってるんだよね、ちょやばだよ」
知美「さて、どうやって奪いましょうかねえ……」

下北沢ヨタ夫「どうも最近、誰かの視線を感じるんだよオレ」
マスター君島「そりゃ気のせいだよ。お前なんか誰も注目してないから安心してクソ
して寝ろ」
ヨタ「うーん、そうかなあ……どうも変なんだよ。ナイフが空から降ってきたりさ、
車に轢かれそうになったり……毒盛られたりさー」
桜木佳美「そんな馬鹿な」
ヨタ「嘘じゃないってば。なんか嫌な予感がして、近所のガキにメシを試食してもら
ったんだ。そしたら、そのガキ泡ふいてぶっ倒れたっすよ」
君島「信じられん。絶対嘘だ」
ヨタ「くそ。オレ、いつも大風呂敷広げるからなあ。いいよ信じてくれなくても」
佳美「ところでどーだい、出来高の方は」

ヨタ「はいはい。『拳銃は俺のパスポート』(1967、日活)だらだら観たり、「
グロイザーX」観たり。グロイザーXはタキオンエンジンで動いていたのか……。武
器にはタキオン光弾なんて武器もあるし、とにかくすごい。脳味噌爆発しますぜ。狂
笑させるつもりか!?パイロットのコスプレがすごいんだよ。とにかくヘン。まるで
夢でも見ているようだ。でも歌は熱血で結構好き。わかーい命が真っ赤にもえてー…
…」

佳美「歌うな。私は最近『冒険野郎マクガイバー』に燃えとりますが」
君島「おお、そりゃ素晴らしい。あれは確かに面白い」

佳美「脚本が上手いんだよ。強いアメリカっつーのかなあ。DIY(ドゥイットユア
セルフ)な思考回路がたまらなく良い。天は自ら助くるものを助く。問題に直面して
対処療法的に解決していくマクガイバー。こりゃホントにカッコイイです」
君島「うん、ああいう良質なドラマシリーズは滅多にない。まず日本の制作会社じゃ
作れないだろうと思う。頭いいんだよ、マクガイバーって。解決方法がすごく感心さ
せられるんですわ」

 そんな話をしている時、バーの空間が一瞬、ぐにゃりと歪んだ。伊集院涼子の放っ
た攻性ウイルス「ルドルフ1型」がバーのVRサミュエルソン=マーチン回路に一挙
に侵入しヒトゲノム数値化トランスレーターをいじくりまわし、下北沢ヨタ夫の人物
情報を吸い取るっちゅー、何だか良くわからないんだけどまあ要するに、ヨタ夫の現
在位置を特定するという作業に取りかかったわけである。

ヨタ「……う、何かやっぱりヘンだ!誰かがオレの個人情報にハッキングしてる!と
りあえずコネクトアウトする、では」

 回線がとぎれ、ヨタ夫は「しねまにあ」をあとにした。遅かったか。敵が現在位置
を特定するのに、約30秒。もうオレの居場所を確認しているな。ええと、母さんの
形見のマグナム44を用意しておこう。プラスチック爆弾をドアにセットして……こ
れでよし。さて、どんな敵が来るんだろ?

浪江「オッケー!居場所特定できましたよ、いえーぃ!あい、がりっ!」
涼子「ちょっと待って。ミュージックステーション見終わってからヨタ夫を襲いまし
ょ」
知美「それはナイスアイデアでございますね。ビデオも一応まわしておきましょう」
涼子「イチハラ、ビデオの録画を忘れずにね!」
家政婦イチハラ「はい、きちんと、間違いなく、録画しておりますのでご安心下さい
」

 三人娘は、ハヤリもの音楽おたく(とてつもなくミーハー)なのであった。





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