#4610/7701 連載
★タイトル (ARJ ) 96/ 1/19 21:10 (192)
感想を書こう(15) みのうら
★内容
そしてまた松虫さんのお返事。
毎度ありがとうございます。
文中に出てるから書いちゃうけど、もう一人お願いした方はかのYOUNGさん
であります。連絡が取れないんですよ。機械でも壊れたかな?
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ドラクーン>返事の返事。 松虫
途中いろいろあってだいぶ遅くなってしまいましたが、この前のHENJI2.TXTへの
お返事です。以下、箇条書き風に。
☆視点について
ひょっとして、みのうらさんは文字で漫画を描いてるつもりなのではないでしょ
うか。あるいは意識はしていなくても、筆が進むにつれて漫画的視点から小説を書
いているとか。
いくつかの評論なんかでも、漫画というのは、同時進行で複数の人物(または人
物以外)の意識(思考)を表現できるすぐれたメディアであると指摘されています。
ひとつのコマに複数のフキダシを入れるやり方は、漫画以外のメディアでやっても
あまりスマートにまとまらないわりに効果を発揮しません。活字メディアでも映像
メディアでも。絵画には思考表現は原則として入りませんから、とりあえず除外。
以前宇野鴻一郎(こんな字だっけ? いやべつに愛読してるわけじゃなくて、た
またま読んでた週刊誌に連載してただけです。嘘じゃありません。信じてください
(泣))が、ページを上下に二分して、同じ話を別の人物の視点から描くという手
法を使ったことがあります。でもページごとに上半分、下半分と読むと話が細切れ
になり、上の話をあるていど読んでから下の話を読むとせっかく同じシーンで見方
が変わってるところを楽しめない、ということで、なんとも中途半端でした。
要するに、漫画以外のメディアというのは、基本的にシーケンシャルなのです。
だから流れがスムースかつ連続的でないと、とたんに読みづらくなります。特に小
説の場合、ビデオ映像のように視点の流れで状況を転換するのがむずかしい。たと
えば、敵同士が対峙してるシーンを最初主人公の背中から撮して、二人を中心に回
り込むように視点を敵の背中の方に動かして、肩越しに主人公を撮す(つまり視点
を主人公から敵に移す)、なんてことは小説ではほぼ実現不可能でしょう。
となると、あるていどまとまった量を同一の視点から見てやらないと、読者の方
がとまどいます。誰を基準(中心)にして読めばいいかわからないからです。
また第三者的観点から書いているときに、とつぜん特定人物の思考(またはそう
思わせる記述)を入れるのも、おもしろくない。それまでの話がたんなる叙述でな
く、誰かの記録と思われてしまいます(最初のシーン。目撃者が酔っぱらい一人の
わりに、酔っぱらいを見ている他の人がいるみたいである)。
もっとも、語り口のおもしろさを狙うのであればこの限りではありません。講釈
師みたいなナレーションで読ませるものだってありますし。
逆にあるていど視点を固定させてやれば、主語が省略してあっても話は通じます。
たとえばYOUNGさんからも指摘されていた戦闘シーンの対象の混乱を調べてみ
ましょう。
原文:
>「マイラ下がれ!」
> (ルースが)叫ぶより早く、短剣の切っ先がマイラの首をないだ。
> (マイラは)後ろに飛んだが、バランスを崩して仰向けに倒れる。
> ルースの鉄杖が(『飛び魚』の)背中に叩きつけられる。(『飛び魚』は)振
り向き剣の柄で受ける。
> 意外と重い衝撃に、『飛び魚』は弾かれ、離れた。
()の部分は私が入れてみたものですが、これだけでもずいぶんと見通しはよくな
るのではないでしょうか。以下細かい検証。
まず「叫ぶより早く」ですが、ここで主格を省略すると後の文がルースの動作と
思われやすくなります(この場合は「短剣の切っ先」で動作の主体はわかりますが)。
「叫ぶ」のはルースで「ないだ」のは『飛び魚』なのですから、文章を分けるなり
動作の主格をはっきりさせた方がいいでしょう。
個人的趣味ですが、「首をないだ」ならすでにマイラの喉元はかき切られていな
いとおかしい。「なぐ」というのは「(刃物を)横に払って切る」という行為なの
で、たとえば「首を切った」という表現の後で切られた本人が無事ってのは変でし
ょ。
ここまではどちらかというと重隅ですが、このあと唐突に主体がマイラに移って
しまうのがまずい。前の文で最終的に主体だったのは『飛び魚』なので、読む方は
一瞬「後ろに飛んだ」のは『飛び魚』と思ってしまいます。せめて何のために「飛
んだ」のか書かれていれば混乱は少ないかも。
さらに次の文で「ルースの鉄杖が」「叩きつけられる」のはもっとまずい。すで
に指摘されているとおり、「仰向けに倒れ」たところへ「叩きつけられる」から、
マイラがルースにしばかれたと思われてしまうからです。
ついでに「叩きつけられる」だと「ルースが鉄杖を叩きつけた」と「『飛び魚』
が鉄杖を叩きつけられた」のふたつの解釈が生じ、ルースと『飛び魚』どちらが文
章の主格なのかがわからなくなります。主語があっても文章が読みにくい例でしょ
う。
「弾かれ、離れた」も何かおかしい。『飛び魚』がルースに「弾かれ」て「(自分
で)離れ」るのは変。
ということで、文句を付けてばかりってのも何だから拙いながらもこんなもんで
どうでしょうというやつをひとつふたつ。
1:========
「マイラ下がれ!」
ルースの叫びより早く、短剣の切っ先をマイラの喉元に向かって走らせた。
マイラは後ろに飛んでかわしたものの、バランスを崩して仰向けに倒れた。
追い打ちを掛けようとする背中にルースの鉄杖が襲いかかる。振り向き剣の柄で
受ける。
意外と重い衝撃に弾かれた『飛び魚』は、体勢を立て直すとルースとの間に少し
距離を開けた。
=========
2:========
「マイラ下がれ!」
叫ぶより『飛び魚』の短剣の方が早かった。切っ先がマイラの喉元を横なぎにす
る。
危うく上体を反らしてかわしたものの下半身がついていかず、マイラの長身が体
勢を崩して仰向けに倒れた。それほど『飛び魚』の攻撃は速かった。
畳みかけようとする『飛び魚』の背中に向かって鉄杖を叩きつける。
風に踊る木の葉の軽やかさで『飛び魚』は振り向き、短剣の柄で攻撃を受けた。
だが、鉄杖の衝撃は『飛び魚』の予想を超えていた。弾き飛ばされた『飛び魚』
は短剣を構え直すと、外見でルースを甘く見たことを後悔するように間合いを取っ
た。
=========
どちらも私の好みが色濃くでてしまってますが、前の方は原文をできるだけ生か
しながら『飛び魚』の背中から、あとの方は完全に趣味に走ってルースの背後から
戦闘を眺めてみたものです。どちらもいわゆる「主語」は含まれていますが、それ
よりも文章の背後の主格をはっきりさせたつもりです。ご意見・ご批判、お待ちし
ております(笑)。
【添削コーナー(笑)】
「木を見て山を見ず」→「木を見て森を見ず」または「鹿を逐う者は山を見ず」
☆一人称について
この作品に関していえば、「流れに詰ま」って「主人公の存在しない場所での別
のエピソードを語」っている場面はなかったと思います。それともあのエピソード
であの先まだ話が続くわけでしょうか?
流れに詰まって別のエピソードを入れるというのは、構想の段階でやることのよ
うな気がします。しかもそのエピソードが元の話に関わってこないと物語から浮い
てしまうので、別のエピソードの挿入にはますます慎重であらねばならない。
以前野田昌宏の「右往左往シート」にいたく感心しておられたようですが、活用
はなさってないのでしょうか? ああいったものを使えばあるていど物語の展開は
組み立てられるので、流れに詰まることはそうそうないと思うのですが。別のエピ
ソードは、また別の話としてまとめた方がいいと思います。それこそ章立てで別の
人間に語らせるとかして、小さなエピソードの集合体で大きな物語にする方法だっ
てあります。
別にどうしても一人称でやれといってるのではなく、みのうらさんの文体が一人
称に向いてるんじゃないかと考えるだけですので、まあそこらへんはやりたいよう
にやるのがいいとは思います。ただ、神の視点でもいいから、語り部なら語り部に
徹した方がいいし、誰かの視点にするなら、ある程度まとまった量を同一の視点か
ら書くようにした方が読み手の混乱は少ないと思います。
☆繰り返し語
特に気にはなりませんでした。それより倒置法や体言止めの方が気になったし。
専門用語に関しては前回も書いたとおりで、この世界を舞台にするならこの世界
らしい言葉を使うべきだし、異世界の話ならこの世界の固有名詞を出すのはまずい。
この話は遠い未来の地球が舞台のようですが、今の地球とどれだけ違っているのか
はっきりさせないと、異世界の話と思ってもこの世界の話と思っても不自然、とい
うことにもなりかねません。地名は残ってないのに動物の名前は残ってるってのは、
なんだか不自然。
☆「月は中天」
あとで出てくる「太陽は中天」と対にするための表現だとは思いました。私はウ
ルフガイ以来月齢に関して敏感になったから気付いただけで、私の友人(私のシミ
ュレーションゲームの師匠。将棋盤なしで将棋が指せる(***将棋といった方が
早いのだが)。博覧強記)とたまたま月の満ち欠けの話になったときも、私が指摘
するまで全く気にしていないようでした。
まあ月の満ち欠けと時間による位置関係(太陽の位置を考えればだいたいわかる
はず。0度で新月、90度で半月、180度で満月)に気を付ければ、あとは三日
月や半月の時に日蝕や月蝕を起こさなければそう問題はないでしょう。一番無難な
のは夕暮れ時に、西の空に三日月か東の空に満月。
夜明け前に東の空に出るのは正確には「二七日月」ぐらいなのでしょうけど、今
では「三日月」と呼んじゃってますね。そういえば新月から上弦までのも一律で「
三日月」になってしまっている。ああ、旧暦は遠くなりにけり。
☆人物の容姿
べつに美形にする必要はないと思いますが、特徴的な外見は書いておいた方がい
いことが多そうです。たとえば髭とか眉毛とか鼻とか。異世界風にしたければ髪の
色を緑にしたり、角やとさかを付けたり。そうすれば「髭」だの「とさか」だけで
誰のことか分かるし。
☆「機甲界ガリアン」
申し訳ありませんが、まったく知りません。
いちおう私の目標としては「(『人狼白書』以前の)アダルト・ウルフガイ」、
「デビルマン」クラスのものが書いてみたいってのがあります。目高手低の最たる
ものではありますが、目標とする分には問題ないでしょう(苦笑)。
☆「抜いても大丈夫!」をアピール
それなら小説の中に「抜かないと筋肉の再生が遅れるから」と書かなきゃ。常人
を越えた能力を発揮するならきちんと解説しないと、読んでる方は普通の人間を基
準に考えてしまいます。これは前回指摘した「ルールが分からない」の典型ですね。
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以上。