#1190/1336 短編
★タイトル (NKG ) 99/ 4/29 23:43 ( 49)
お題>言えなかった言葉>SIDE B なると@(柊)
★内容
SIDE B
ふいに見知った顔に出会う。
あれはたしか……中学の時の同じクラスだった男。
二度と会うこともないだろうと思っていたが、それはわたしが勝手に思っていた
ことだ。世間は狭い。会いたくない奴ほど会ってしまうものだ。
まったくついてないよ。
「久しぶりだね。元気だった?」
ちょっと笑顔がひきつっているかも。あー、うざいなぁ、社交辞令なんて。
3年も経ってんだから、ちょっとはマシな奴になっていると思っていたけど……
ダメじゃん。服装には相変わらずセンスはないし、なによりわたしを見つめるぎら
ぎらとした瞳が気味悪い。
なんだか、奴の顔を見ていると嫌な記憶が蘇ってくるよ。
いつだって気がつくと、奴はわたしを見ていたんだから。休み時間も授業中も帰
り道だって。
気持ち悪いったらありゃしない。気付くと奴の視線がそこにあるんだからさ。
トモダチは「あんたに気があるのよ」とか言ってからかってきたけど、冗談じゃ
ないよ、奴はストーカーまがいの事だってやってたんだからさ。あーやだやだ、こ
れ以上嫌な記憶は思い出したくない。
なんだかなぁ、わたしはなんでこいつと挨拶交わしてるんだろ。ていうか、奴は
わたしが挨拶してやったってのに、じっと黙りこんでるだけじゃん。あー、挨拶交
わしてねぇよ。
――ったく!
あの時言えなかった言葉を言ってやろうかな。
「**」
補足:「**」伏せ字の中にはお好きな言葉をお入れください。
例としては「死ね」「アホ」等いろいろありますが、けして2文字にこだ
わる必要はありません。
なると@(柊) 1999