#1120/1336 短編
★タイトル (EFF ) 98/11/ 3 0:39 ( 82)
Pandora's box(3) α-Pierrot
★内容
小さな詩の集い
(Number 73)
吐息(フ)く風に風化する
生きた心地と褪めた言(コト)の葉(ハ)
藤色に染まる空気(クウキ)に
呼吸(コクウ)なんてしない
(Number 74)
ふたつのかおを
おぶり
あゆみゆきかう
射す視線の創る影
透明な爪痕が
大きな欠伸
大きく嘶く
嘲り嘯く事で憂鬱を保つ
割れた壷の刃先で
雑音に脈打つ血管をなぞる
ひとしずく
はぜてはうつろう
ながいひさし
庇の萌えかすの下
誰も居なくなった巣穴に潜り
初めて聞いた自分の声
こえを擧げてないていた
(Number 75)
声をあげる
言葉にできない
舌っ足らずな悲鳴
風に彩られる
花びらは音符
不器用に口吹く
川のながれ
時のながれ
堰に乗り
砂をつむ
蟋蟀の脚
蝋燭のゆらぎ
頬を赤らめ
爪をくるむ
声にできない
言葉をあげる
我武者羅で無性に
(Number 76)
何も音が聞こえない
だから聞こえる音がある
ミルクの流れる筋を辿り
裏道の角を曲がる
タイヤの取れた車に跨り
地球を逆さに遠く眺める
記憶に偏り住む葉脈の囁き
土の中と空を飛ぶ昆虫の蠢き
ただ香れる寺の
手折れる颯爽
道標にもののけ
影が永く永く
きっと感じられる音色と
心を騒がせる気質
もうすぐ夏が私の頬を撫でてゆく
(Number 77)
ここに足・あとWO残ちた
誰のためでなく
エゴとヒロイズムのため