AWC 我が矛盾論(1) /オークフリー


        
#253/1336 短編
★タイトル (GSC     )  94/ 6/22  21:51  ( 40)
我が矛盾論(1) /オークフリー
★内容
 「人の命は地球より重い。」という言葉があり、確かに人命尊重という理念において
それは美しい言葉である。
 個人の喧嘩と大差のない理由によって戦争が起こり、大量の人間が虐殺される。凶悪
犯が何人もの人を殺す。食料不足や熱病や事故や災害で大勢の人が死ぬ。人の命は地球
より重いというのに…。

 ところで、人の命が本当に他の何よりも貴いのだろうか?

 ここに一つの石ころがあるとする。この石と一人の人間と、いったいどちらが大切か
などと考える人は居ないだろうか?
 人間の目からみれば当然、石ころよりも人一人の方がはるかに重要と思えるが、宇宙
全体という立場で見ると、はたしていずれがより重要とも即座には断定できない。
 人間には知能があり自由意志があり生命がある。しかし、石には硬さがあり安定した
形があり、人の一生よりはるかに長い命がある。
 人間は石を自由に動かすことができるが、逆に、一粒のダイヤが人の運命を変え、1
個の石が人の命を奪うこともある。
 一人の人間が集まって人類社会を形成しているのと同様に、一粒の砂や石が集まって
地球を構成しているのである。

 人間と石と比べてさえこうなのだから、他の植物や動物よりも人間の方が優れている
とは簡単に言い切れまい。まして万物の霊長などとはおこがましい。
 人間には頭脳があると言うが、そんな物は、単に頭蓋骨の中の脳髄が複雑に発達した
だけのことで、うさぎの耳や象の鼻やサイの角と何ら異なるところはない。何百年を経
た樹木に比べたら、一円の値打ちも無いと言って過言であるまい。

 もし、人間が他の生物や無生物を見下すことを許すならば、それは、人間どうしの差
別を許すことと大同小異である。金持ちが貧乏人を、地位の高い者や権力者が自分より
下の者を、健常者が病人や障害者を、心の底で区別しているのと大きな違いはない。

 「人の命は地球より重い」ではなく、「自分の命は地球より重い」と考えている人間
が結構多いのではないか?

 「オークフリー、そう言うお前はどうなんだ?」
と聞かれたら、
 「はい!私もやはり、自己中心的な人間に相違ありません。」
と答えるしかなく、人間悪いと分かっていても、聖人にはなれないものだ。これこそが
最も大きな矛盾なのである。

          OAK





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