AWC 短編連作>帝国古代の神話と伝承(1)司法神アストレイアの項


        
#237/1336 短編
★タイトル (ARJ     )  94/ 5/30   1:20  ( 42)
短編連作>帝国古代の神話と伝承(1)司法神アストレイアの項
★内容


 司法神アストレイアはヴィナスの娘であった。
 父であるデルレイオスがアストレイアをヴィナス宮から地上に連れだし、正義の女神
の位を与え、自らの配下とした。
 怒ったヴィナスはデルレイオスに戦いを挑んだが、アストレイアが軍神となり、母の
軍勢に立ち向かったので母神は引き下がるしかなかった。
 デルレイオスはアストレイアを得、大地の全てを我が物とした。正義とは、デルレイ
オスの正義となった。逆らう者は生きたまま引き裂かれた。デルレイオスの暗黒と呼ば
れるこの時代は300年続いた。
 だが破局は、勝利と同じ場所からやってきた。驕りがデルレイオスを支配し、彼は娘
であるアストレイアに、同衾を迫ったのである。
 デルレイオスの正義を擁護し、最も強大な力を持つ破壊の女神と恐れられた我が娘。
彼がこの世でただ一つ征服していない者を、征服しようと邪な行為に出たのである。
 父の傀儡として、心を持たず、父の全ての言葉に従ってきた無垢なる破壊神は、己の
内に怒りを発見し、即座にその心に従った。
 デルレイオスの壮麗な宮殿は燃え上がり、アストレイアの怒りに大地も裂け、灼熱の
溶岩が全てを飲み込んだ。現在、スタドナ山脈の「デルレイオスの墓」と呼ばれる谷に
、アストレイアの怒りを見ることができる。
 デルレイオスは冥府に降ったが、娘であり共謀者であり親殺し、はらからたわけのア
ストレイアは、神々に受け入れられずに大地をさまようこととなった。
 女神の位は剥奪され、輝く黄金の髪は怒りに赤く染まったまま、魔女アストレイアと
呼ばれ300年を放浪した。
 母ヴィナスは哀れな娘を見守るため、朝に夕に、その美しい姿を天にあらわした。
 300年の後、地上での罪の汚れを償った魔女アストレイアは、女神の称号を再び受け、
今度こそ天界の、司法神アストレイアとなった。
 しかし、赤く染まった長い髪は、元の黄金に戻ることはなかった。
 帝都にあるアストレイア大司法神殿には、黄金の髪に青い瞳、銀の戦鎧姿の「無垢な
る乙女」と、赤毛に青の瞳、放浪者の姿をした「赤と青の魔女」そして灼熱の赤毛に正
義を見極める氷の瞳、剣と天秤を持った「司法の擁護者」三体の神像がまつられている
。
 三体の神像は、それぞれ「純粋の守護」「旅人の守護」「正義の守護」を司る。
 だが「乙女」と「魔女」は像が少数の神官によってまつられるのみ。神殿の中央にあ
る「中央司法議会議事堂」にまつられ、軍神であるトゥール神殿に次ぐ戦力を持つ司法
神殿軍の所属は「正義の守護者」にこそある。
 また、一般的にではないが、「全ての魔女の母」たる大魔女として、黒魔術師たちに
あがめられることもある。


94/05/28
ARJ96862  みのうら





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