#187/1336 短編
★タイトル (ZBF ) 94/ 1/28 6:17 ( 22)
「よく・ある・話」−ブランコ− 写愚
★内容
疲れた。何もかも。人間関係だとか義務だとか責任だとか。何故みんな、自分で
自分を縛るような真似をするのだろう。社会制度の多くは合理的でもなければ仕事
の効率を高めるためのものでもない。ただ縛られることを望み、縛ることに悦びを
見出す。とんでもない変態野郎ばかりだ。
もう三十分もすれば俺も家に帰り、食卓でニコヤかに自分の役割を演じる。ザマぁ
ないや。俺も縛られてる、いや自分を縛っている。一度動き出したら惰性で揺れる
ブランコのように、止まることを恐れ漕ぎ続けるブランコのように、俺は演じ続け
る。誰のために?少なくとも俺のためじゃない。
はみ出さないよう演じるのは自分の為だろうって? 冗談言うなよ。はみ出して
困るのはヤツらの方さ。俺が困るとしたらヤツらの理不尽な報復、ヤツらは制裁と
言うだろうが、ヤツらの理不尽な報復を受けるからだ。ヤツらは自分たちが為し得
ない反逆をする者が羨ましくて妬ましくて憎いんだ。
もう疲れたよ。何もかも。だけど俺は演じ続けなければならない。家族のために。
家族を悲しませたくないために、俺は自分を殺して演じ続けなければならない。ザ
マぁねぇや。……フッ、大人になったってことかな、これが。なりたくはないよな、
大人になんて。
「研ちゃーん、ご飯よぉ」ちっもう再演の時間か。仕方ねぇ、幕は上がったようだ。
「はぁい、ねぇねぇ今日のオカズは何? 僕ねぇハンバーグが良いなぁ」
(お粗末様)