AWC 天と地の狭間にて             $フィン


        
#182/1336 短編
★タイトル (XVB     )  94/ 1/19  21:13  (171)
天と地の狭間にて             $フィン
★内容


天 傷ついた片足のまま地上に住む地界の王
地 傷ついた片翼のまま大空に飛ぶ天界の王

天 我を覚えているならその姿を現してくれ
地 我を覚えているならその姿を現してくれ

天 我は汝に呼ばれ天界の縁から姿を現した
地 我は汝に呼ばれ地界の縁から姿を現した

天 何故そのような冷ややかな瞳で見つめる
地 何故そのような冷ややかな瞳で見つめる

天 片翼であることがそんなに愚かしいのか
地 片足であることがそんなに愚かしいのか

天 それは汝の心にある迷いの元に過ぎない
地 それは汝の心にある迷いの元に過ぎない

天 冷ややかと思うこと己自身を恥じており
地 冷ややかと思うこと己自身を恥じており

天 我は片足でも少しもそのようには思わぬ
地 我は片翼でも少しもそのようには思わぬ

天 かつて世界を二分する大きな戦いがあり
地 かつて世界を二分する大きな戦いがあり

天  汝はその先頭に立ち勇敢に戦い傷ついた
地 汝はその先頭に立ち勇敢に戦い傷ついた

天 王であれば安全な地にいればいいものを
地 王であれば安全な天にいればいいものを

天 我にはないその二つ揃った見事な両翼で
地 我にはないその二つ揃った見事な両足で

天 汝はわざわざ危険を犯し天に飛び立った
地 汝はわざわざ危険を犯し地に降り立った

天 そこで敵の大将と戦い汝は片足を失った
地  そこで敵の大将と戦い汝は片翼を失った

天 そのかわり敵の大将に同様の傷を負わせ
地 そのかわり敵の大将に同様の傷を負わせ

天 地界の王は己の国を最後まで守り通した
地 天界の王は己の国を最後まで守り通した

天 いわば汝の失った片足は勇敢の証である
地 いわば汝の失った片翼は勇敢の証である

天 それは天界の王と呼ばれた男が保証する
地 それは地界の王と呼ばれた男が保証する

天 勇敢な地界の王よ我が呼び出した理由は
地 勇敢な天界の王よ我が呼び出した理由は

天 その勇敢な汝を見込んで頼みがあるのだ
地 その勇敢な汝を見込んで頼みがあるのだ

天 今なお美しい両翼を持ち勇敢である汝に
地 今なお美しい両足を持ち勇敢である汝に

天 王の存在せぬ天界を治めて貰いたいのだ
地 王の存在せぬ地界を治めて貰いたいのだ

天 なぜ笑う地界の王よ我の頼み聞けぬのか
地 なぜ笑う天界の王よ我の頼み聞けぬのか

天 汝の頼みとは云えそればかりは聞けぬな
地 汝の頼みとは云えそればかりは聞けぬな

天 それでは地界に王が二人になってしまう
地 それでは天界に王が二人になってしまう

天 我の知らぬ天界のいずこに王がいるのか
地 我の知らぬ地界のいずこに王がいるのか

天 たとえ片足とはいえ今だなお汝地界の王
地 たとえ片翼とはいえ今だなお汝天界の王

天 宮殿におらずとも地界の王は唯一汝のみ
地 宮殿におらずとも天界の王は唯一汝のみ

天 同じ王国に王が二人では争いの元となる
地 同じ王国に王が二人では争いの元となる

天 これでは汝が築いた王国が滅んでしまう
地 これでは汝が築いた王国が滅んでしまう

天 それでは我が推薦する者王の位につけよ
地 それでは我が推薦する者王の位につけよ

天 おお汝が推薦する者であれば確かだろう
地 おお汝が推薦する者であれば確かだろう

天 その者必ず王位につけると約束したまえ
地 その者必ず王位につけると約束したまえ

天 我の名にかけてその者を王位につけよう
地  我の名にかけてその者を王位につけよう

天 名にかけて約束したこと破ることならぬ
地 名にかけて約束したこと破ることならぬ

天 早く云え我が愛する天の国に守るために
地 早く云え我が愛する地の国を守るために

天 わかった云おうそのもの勇敢な者であり
地 わかった云おうそのもの勇敢な者であり

天 誰よりも地界を愛する者である片足の男
地 誰よりも天界を愛する者である片翼の男

天 かつて我の片翼を奪った汝を推薦しよう
地 かつて我の片足を奪った汝を推薦しよう

天 地界の王が推薦する片翼の我再び王位に
地 天界の王が推薦する片足の我再び王位に

天 そして我の名において再び王位につこう
地 そして我の名において再び王位につこう

天 よかった実は地界の民に頼まれ我来たり
地 よかった実は天界の民に頼まれ我来たり

天 地の縁にいる地界の王呼べるのは我のみ
地 天の縁にいる天界の王呼べるのは我のみ

天 地界の王に命令できるのは我のみのため
地 天界の王に命令できるのは我のみのため

天 敵国の将であった我に汝を説得させる為
地 敵国の将であった我に汝を説得させる為

天 わざわざ危険を犯し我が国に入り込んだ
地 わざわざ危険を犯し我が国に入り込んだ

天 頭を悩ました汝の民の苦心の策であった
地 頭を悩ました汝の民の苦心の策であった

天 これもすべて汝を慕う民の心のゆえにて
地 これもすべて汝を慕う民の心のゆえにて

天 我感激し汝の民の計略にわざと乗せられ
地 我感激し汝の民の計略にわざと乗せられ

天 我いと浅ましき姿なれど汝を呼び出した
地 我いと浅ましき姿なれど汝を呼び出した

天 地界の民の願いがうまく運び誠よかった
地 天界の民の願いがうまく運び誠よかった

天 我天界の縁から出てきた甲斐というもの
地 我地界の縁から出てきた甲斐というもの

天 汝宮殿に帰るがよい汝の民が待っている
地 汝宮殿に帰るがよい汝の民が待っている

天 汝の名において末永く地界を守るがよい
地 汝の名において末永く天界を守るがよい

天 さらば地界の王汝永久に地界の王と成り
地 さらば天界の王汝永久に天界の王と成り

天 我は宮殿に戻りて永久に天界の王と成る
地 我は宮殿に戻りて永久に地界の王と成る

                    $フィン




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