#2852/3137 空中分解2
★タイトル (AKM ) 93/ 2/12 22:30 ( 49)
【軍艦島は接吻の彼方に】その4 ワクロー3
★内容
《20代おんな心の謎》4 うねうね伸びる階段
さて「軍艦島」への最初の上陸地点は、島の裏側でした。
表側がまがりなりにも「桟橋」の印象を残していたのに、こちら
の「桟橋」は、海中にほんの少しだけ突き出た、板切れ3枚ほどの
足場があったにすぎませんでした。
「桟橋」の先には、いきなり門があり、あたかも監獄の入り口の
ように陰気な口をぽっかりとあけていました。
「門」をくぐると、目の前に巨大なコンクリート構造物の腹部が、
視界いっぱいに入ってきます。
それは、うねうねと天に向かってそそりたっていて、途中にいく
つもの回廊や階段を抱え込んでいます。
僕ら4人は、いきなり圧倒されてしまいました。
「15階はあるな。近くで見ると、すごかなぁ。軍艦の艦橋みた
いに見えるとがここらの建物やろうな」
Sが口をききました。
それが、きっかけでした。
「なんか バベルの塔みたい」
「まだ人が住んでいるみたいやね」
「カラーフィルム持ってきたけど、ここは白黒が似合うみたい」
験は誰にでも積めるのです。人間が関わっている臭いが残っている
にも関わらず、そこには誰もいない。放課後の学校のような場所を
想像しても構いません。
かつてにぎわった場所が今は廃虚になっている、そこはかとない
痛ましさを感じることで、似た状況に身を置くことがある程度はで
きるのです。
(以下次回につづく)