#1647/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (TEJ ) 89/ 6/19 0:18 ( 46)
『秋本さすペンス劇場 第二話』(水をさす男)89・6・18
★内容
なんでなんだよぉ。
死にはしねえよなっ。
な。こんな喋れるんだからよ。
痛てえよ、じっさい。シャレになんないって。
だいたいアイツがさあ、これ読んでくれって持って来たんだから。
俺なんかさ、じっさい、あんなん読まねえよ。わかるだろ?
(目薬をさす女)だっての。
俺さ、あいつに借りがあんだよね。金じゃねえよ。え?女だよ。女のこ・と。
痛てえなあ、まだかよ。マジで死んじまうんじゃねえの。
こんなんないよなぁ、じっさい。
だから、後で読んどくって云ったんだよな。そしたら今ここで読んでくれって
アイツが云うだろ。俺、女のとこ行く途中だったんだ。あっ、電話しといてく
れる。えっ?女のとこに決まってんだろ。行けねえだろ?見てわかるヨネ。歯
痛てえ!笑えね……
いきなりなんだよな、いきなり。ひでえ話。
アイツだいたいアブねえ奴でよ。暗えんだよ、じっさい。
なに考えてんだか。でもさ、いきなりこれは、ないんじゃない?
なにをって、だから、どう思うかって訊かれたからよぉ、わかんねえって云っ
たんだよな。読んださ。アイツ、マジな顔してさ、訊くだろ。
だって、あれ読んでわかった?わかんねえだろ。な。俺、本とか読まねえけど
よ、あれ読んでわかる奴。いねえんじゃないの?女が手が動かねえとか、なん
とか云っててよ、それで目薬がどうしたこうしたとか。あんなん、小説とかそ
んなんと違うよな。さっぱりわかんねえよ。おまえ、才能ねえんじゃねえのっ
て。アイツそれでもなんかしつこく訊くんで、俺、この女病院かなんかに入っ
てんじゃねえのって、だから、それだけ云ったんだよな。それしか云えねえよ。
わかんねえよ。
ああ、なんだか眠くなってきたみてえ、これって危ないってことないの?
そう?他人事だと思ってんじゃねえの。痛えんだよ。だいぶ流れたんじゃない
の?ほんと大丈夫かよ。まだ来ねえのかよぉ。
それでって、だからアイツが云ったんだ。この女はその男をナイフで刺した。
そんな話だって。わかるわけねえだろ、じっさい。そんなん書いてねえよ、ど
こにも。読んだんだろ。そんなとこあったかよ?ねえだろ、わかんねえよ。
だから俺、ふーんとか云ってさ。急いでたからよ、それで行こうとしたら、い
きなり。ぁぁ痛てえ……小説じゃないっての。
アイツ、頭おかしいよ。自分のこと書いたんじゃねえの。まともじゃねえよ。
あ、あいつ精神異常とかいうんで捕まらないってこと……ないよな。そんなこ
と……さあ、ぁぁつかれてきた……口がさあ……だ……んだん……ぁぁだめ、
ま、マジ……こんなん。こ、こんなん
アリかよおおお!
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パソコン通信ドラマ『秋本さすペンス劇場』その二話(水をさす男)いかが
でしたでしょうか。次回の『秋本さすペンス劇場』は(花をさす少女)を予定
しております。それでは本日はこの辺で。
貧乏寺の鐘の音は陰にこもらず……カーン!