#277/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (BMD ) 87/ 8/27 13:31 ( 59)
K&D>つ・ば・さ・が・・・ COLOR
★内容
−−あれは現実だったのか夢だったんじゃないの。
私は今、考えても納得のいく答は見付けられない。でも私は・・・
私は軽くため息をついた。もう学校は始まっているだろう。また、また私は学校を休
んでしまった。でもしょうがない。体がだるいし・・・、きっとみんなもわかってくれ
る。あ、お母さんだ、またお説教か、何回も何回も同じことの繰り返し。ちがうよぉ私
登校拒否なんかじゃじゃないよ。うるさいなぁ、でてってよ。
・・・階段を降りる足音がする。やっと私の時間がやってきた。
私の時間、それはわずらわしさから解放される時から始まる。何がわずらわしいのか
はハッキリしない。いえ、ハッキリさせたくないのかもしれない。
・・・そんなことどうでもいいじゃない。ここは私の時間。本棚にある本棚にある本
やレコードの家来が、私を守ってくれる。ベランダに集まる小鳥は私の大事なお客様。
貴方もここに来たらきっと気に入ったと思うわ。でもそれは、出来ないの。だって家来
達は貴方を歓迎しないと思うから。ここは私だけの時間だから。
あ、お客様がいらしたようだわ。いらっしゃい。あなたがなんていう鳥かは知らない
けど、そんなのここでは関係ないからどうぞごゆっくり。
待って!、−−−あぁ、行ってしまった。鳥はいいなぁ、翼を持っていて。大空を自
由にはばたけて。私には現実という足かせが外せないのに。
食事という行事を済ませた私は、ベッドに倒れこんだ。あぁ気持ちいい。もう何もし
たくない。
あっ! か、からだが、体が軽くなって。・・・浮いてる、私が浮いてる。
あ、さっき閉めたはずの窓が開いていく。
−−−空が私を呼んでいる! 宇宙が私を招いている!
私は空へでた。わけがわからないまま空へでた。私がどうやっても外せなかった足か
せが外れた。そう、私は本当の自由になったんだわ。
学校へ行こう。あそこには足かせをはめられた囚人達が、自分が捕まっていることも
知らずに学んでいるのね。私をバカにした貴方に今の私が見える?見えないでしょう。
忙しい貴方達は空があることも忘れてるみたいだし。
−−−馬鹿みたい私。なんで、学校なんてきたのかしら。よし、今度は山へ行こう。山
にはあの小鳥もいるかもしれないし。
こんにちわ、山の住民達。心配しなくてもいいのよ。私は外の人とは違うの。
・・・わかってくれたのね。うれしいわ。あ、あなたはあの時の小鳥ね。え、一緒に飛
ぶの? 私まだうまく飛べないの。−−−いいの? じゃぁ行きましょう。
空の風がこんなにも気持ちいいなんて思わなかった。あ、そんなに速く飛んだらつい
ていけないよ。なに慌ててるの? あっ! タ、タカだ! タカが私の横を通りすぎて
行く。あの小鳥をねらってる! やめてっ
私は空に浮かんでいた。何も考えたくなかった。でも逃げた私を空は許してはくれな
かった。雨がふり、嵐になった。私は風に流され、何かに全身をうちつけた。私は腹が
たった。自分の甘さに。小鳥をうらやましがっていた私に。 小鳥だって精一杯生きて
いたんだ。決して本当の自由なんかじゃなかったんだ。それなのに・・・・・
私は気が付くとベッドの中にいた。体が痛い。 夢、だったの、あれは。
時計をみる。あ、お客様のくる時間だ。私はベッドからはねおきた。
しかし、お客様はそれから2度と姿を現わさなかった。
そして私は・・・少しずつだけど、勉強を始めました。多分そのうち学校へも行くでし
ょう。そのうち、そのうちに。
でも私はこの世界に空がある事だけは忘れないでいたい。
<お・わ・り> BMD66811/COLOR